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5人が真剣にじゃんけんする隣で私はりんごのシブーストを選び、玲はガトーショコラを選ぶ。じゃんけんが大盛り上がりなことにとても驚いたけれど、残り6個を5人で取ってから残りが咲哉さんというのが意外だった。
「俺はどれもまあまあ好き」
という咲哉さんも総務の部屋でケーキは食べてくれるという、温かいお昼休みをプレゼントしてもらい、夕方は予定通り婚姻届を提出した。
「無事に受領されたので、雅は私の夫になったってことです」
「そうだな。よろしく、奥さん」
チュッ…役所の駐車場にとめた車の中で頬にキスをする雅に
「はい、誕生日プレゼント」
とバッグから取り出した箱を手渡す。
「ありがとう、結愛。開けていいか?」
「是非とも、どうぞ」
そう答える間に、彼の指はリボンを引っ張っている。ブランド名も何もないリボンとラッピングペーパーを丁寧に剥がした雅は箱を開けると
「咲哉のとこ?」
とネクタイをそっと撫でる。
「うん。世界にひとつだよ」
「マジで?」
「うん。私が工場で生地を選んで、市販品と絶対に被らないようにこのラインが出るように断裁してもらったから、この生地でもこの柄の物は他にないの」
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