第1章 episode①

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そう思いつつ都心を離れ、住み慣れた町に帰った2日後 「…採用…ですか?」 ‘はい。週明けから勤務していただくことは可能でしょうか?’ 「はいっ、ありがとうございます」 ‘ではお手数ですが、明日10時に印鑑を持って先日面接した本社までお越しください。雇用契約を…’ 採用、雇用契約について…と続く信じられない電話をもらった。 「採用だって」 「何が?」 期間限定無職の私が夕食を準備していると、両親が仕事から帰宅し揃ったところで伝えるが…伝わらない。 「そうだよね。私もあの面接で落ちたと思ったけど、採用の連絡をもらったの」 「…本当にKaiの方?」 「電話でそう名乗ってたよ?」 「ははっ、母さんの心配の仕方もわからんでもないがおめでとう、結愛」 「ありがとう、お父さん。ビール飲む?」 「飲む」 「私も飲むわ。結愛、おめでとう」 「お母さん、ありがとう。明日契約に行くから、電話の真偽は分かるからね」 「結愛も半信半疑なんじゃないの?まあ、1か月ちょっと、こうして料理してたのも無駄じゃないわよ。美味しそうね」 私がビールを出す後ろで、お母さんは鍋から手羽元のさっぱり煮を器に取る。 「“Diamante Kai”に再就職おめでとう」 「おめでとう」 「楽しい企画広報部でありますように」 「「「乾杯」」」
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