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そう思いつつ都心を離れ、住み慣れた町に帰った2日後
「…採用…ですか?」
‘はい。週明けから勤務していただくことは可能でしょうか?’
「はいっ、ありがとうございます」
‘ではお手数ですが、明日10時に印鑑を持って先日面接した本社までお越しください。雇用契約を…’
採用、雇用契約について…と続く信じられない電話をもらった。
「採用だって」
「何が?」
期間限定無職の私が夕食を準備していると、両親が仕事から帰宅し揃ったところで伝えるが…伝わらない。
「そうだよね。私もあの面接で落ちたと思ったけど、採用の連絡をもらったの」
「…本当にKaiの方?」
「電話でそう名乗ってたよ?」
「ははっ、母さんの心配の仕方もわからんでもないがおめでとう、結愛」
「ありがとう、お父さん。ビール飲む?」
「飲む」
「私も飲むわ。結愛、おめでとう」
「お母さん、ありがとう。明日契約に行くから、電話の真偽は分かるからね」
「結愛も半信半疑なんじゃないの?まあ、1か月ちょっと、こうして料理してたのも無駄じゃないわよ。美味しそうね」
私がビールを出す後ろで、お母さんは鍋から手羽元のさっぱり煮を器に取る。
「“Diamante Kai”に再就職おめでとう」
「おめでとう」
「楽しい企画広報部でありますように」
「「「乾杯」」」
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