最低で最高な誕生日

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 ケーキのことを言ったらお母さんの眉毛が少し寄った。断られないように必死で言葉を探す。アンジェリカのケーキは絶対に必要なんだから。  誕生日会を開くことを勧めてくれたのは真理ちゃんだった。そして真理ちゃんは、 “アンジェリカのケーキなら紀子ちゃんのお誕生日会に行く” とも言ったのだ。 「あのね、すっごく美味しいんだって! 真理ちゃんちはいつもそこのケーキなんだって。あたしも食べてみたいから、お願い! いいでしょ?」 「……そうねぇ、まあいいけど?」  このお願いの山場を越えて少しホッとした。だけど、山はもう一つある。 「それでね、あとね、イチゴの丸いケーキの他にチーズケーキも買って欲しいの」 「ええっ?! 二つも食べるの?!」  お母さんの表情がまた少し曇ったので慌てた。誕生日会の成功には、ケーキがものすごく大切なのだ。 「違うの! あのね、優美ちゃんが、生クリームが苦手なんだって。それでチーズケーキがいいって。だからね、チーズケーキは優美ちゃんの分だけでいいの」
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