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お母さんはふーっとひとつ息を吐き、少し間を置いてから「分かったわ」と言ってくれた。
どうしよう? もしかしたらものすごく贅沢なことを頼んでしまったの? ちょっぴり罪悪感がわいたけど、そのまま無視することにした。生まれて初めて誕生日会を開くのだから、それくらいは許させるだろうと思った。
「やったー! お母さんありがとう! 」
「それで、真理ちゃんと優美ちゃんって子の他に、誰を呼ぶの?」
「え? 真理ちゃんと優美ちゃんだけだよ」
「あら、二人だけ? クラスの他のお友だちとか、あとは敬子ちゃんと信子ちゃんは呼ばないの?」
引越す前、同じアパートに住んでいた敬子ちゃんと信子ちゃんとは学年が違う。敬子ちゃんは一歳年上で、信子ちゃんは一歳年下だ。幼なじみとはいえ、引越してからは遊ぶことはなくなった。
あの古いアパートに住む幼なじみよりも、同じクラスの中心にいるキラキラした二人を呼びたかった。
「うん! 真理ちゃんと優美ちゃんが今一番仲がいいから!」
自分の部屋に来る真理ちゃんと優美ちゃんの姿を想像しただけで、フワフワと雲の上にでもいる気持ちになる。
「みんな呼べばいいのに」
お母さんは分かっていないと思う。人数が多いからいいわけじゃない。あの二人だけを呼ぶのがいいのだ。
いつもオシャレな二人なら、可愛いプレゼントをくれるに違いない。
それに、紀子の誕生日会に二人が来たと知れば、クラス中から羨ましがられるかもしれない。一緒に行きたかったなんて言う子も出てくるかもしれない。その時はまた、休みの日にうちに集まって遊んでもいいかもしれない。
そんな先のことまでも、考えるだけでワクワク感が止まらなくて、今ジャンプしたら天井にぶつかっちゃうんじゃないかって思えるくらいだった。
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