風の鳴る丘

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悪夢を夢見る小路で あの子が泣いた 風よ唸れ 歌え 唄え 眠りに視た優しさの様に 通り雨は誰かの記憶 風も知らない空は消える 顔を覆う手の平は悔恨と優しさ 伝う涙を忘れてしまえば良かった あの砂金より遥かな夢幻は歌に乗って どうか忘れてくれ これ以上の幸福をと願う唄は 柔らかな微睡み 嗚呼 風よ どうか歌っておくれ 彼方から響くは誰かの優しさ 滅びゆく孤独はドレスを翻して 乱れた呼吸に潜むのは貴方の影 遠くなる喘鳴に睡蓮の足取りは何処(いずこ)へ 灰になるまで どうか願って欲しい 傷付けた私の影 傷付けた貴方の影 風だけが知る声を手繰って 貴方に溶ける 眠りに落ちる その時までダンスを 瞼に添えた花束を貴方に 灰になるまで どうか忘れてくれ あの空のように
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