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第18話【アンドロイドの兵士】
「待っていたよ、我が同胞」
バイラスがそう言いながら雷電に近づいて来た。まるでライオンのような立髪と他の四体よりひと回りは大きい体格がひときわ目を引く。
「ちょっと待て、同胞っていうのは違うんじゃねえのか? まだあんたらと仲間になったつもりはないんだがな」
「オイ、貴様、大佐に対して無礼だぞ!」
カイザーが声を張り上げた。まあ、待て、と、バイラスがそれを征する。
「とりあえずお互いに名前くらい紹介しようじゃないか。私がこの隊を束ねるバイラスだ。彼がカイザー……」
バイラスは続けてラグネルとタイロンを紹介した。「地上で君とやりあった若い奴がファズだ、奴の無礼は詫びよう、すまなかったな」と、バイラスが詫びた。
「で、君は?」
「……オレは雷電だ」
「雷電、か。なかなかいい響きの名だ」、そう言うと流暢に続けた。
「この建物の心臓部分の入口になるのが我々がいるここ、制御室だ」
雷電とバイラスが言葉を交わしている時、そのやりとりを見ていた発電所の責任者でもある所長の板倉が進言した。
「ちょっといいかね?」
バイラスや雷電らが部屋の隅で固まっている板倉ら職員たちに目を向けた。
「お願いだ、職員らの休憩室へ水や食料の補給に行かせてはくれまいか? 皆、だいぶ参っている。それとトイレにもだ……。もし今後も我々を長く幽閉するつもりならそれなりに食料を補充してもらわないとならない。君らはどうか知らないが我々は生身の人間だ、生死に関わる」
「おっと、これはすまなかった。君たちの事を忘れていたよ……よかろう、食料などの補充は要求しよう。とりあえず現在一時的に君らが水などを補充出来るその部屋はどこに?」
板倉の要求をバイラスはあっさりと承諾した。
「この地下に、トイレもある。あとは一階に」
「……わかった。では地下に関しては自由に行って構わん」、そうバイラスが告げ、ラグネルとタイロンを呼び寄せた。
「連中に付いて行け、二手に分かれて念のため一階の出入口も見張るんだ」
ラグネルとバイラスは「了解しました!」と言い、動き出した職員らの後に付いて行く。見事に統率が取れている、そう雷電は思った。
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