第14話【雷電 対 ファズ】

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第14話【雷電 対 ファズ】

   ラグネルが日本語で雷電に問いかける。ラグネルは隣にいるタイロンと視線を合わせた。互いに薄ら笑いを浮かべる。 「オマエらこそ何者だ? こんな場所で何を……」と、雷電が言いかけたところで気がついた。 「なるほどそういう事か、旧ロシア派の連中ってのはオマエらか」と、雷電は合点がいった様子で言い「で、今は見張り番役で彷徨いてたわけだ」 「勘違いするな、占拠したのはオレたちだけだ。人間はいない」  雷電にとってラグネルのその言葉は意外だった。旧ロシアからアンドロイドのこいつらだけで発電所を占拠したということか?と。 「ちょうど良い、様子を探りに来たのはわかっている。大佐たちも待っているから中へ案内してやる、着いて来いよ」 「大佐だと?」  雷電は眼前にいる3体以外にまだ誰かがいる事を悟った。ラグネルとタイロンは踵を返し、警察が封鎖している鉄条網の向こう側にある侵入口から離れるように歩き出す。その先には鉄条網が破られ、穴が開いている箇所が見えた。雷電はさっきから脳内無線に呼びかけて来る下川の声を無視していた。と、その時、ファズが雷電の背後からいきなり飛びかかって来た。雷電の首の後ろに喰らいついている。雷電は見るからに若そうなファズを横目に睨みつけた。 「さっきからなんなんだよ? 小僧」  前を歩いていたラグネルとタイロンがその様子に気づいて振り返った。タイロンは舌打ちをする。 「ファズ、てめえはどこまでもわからねえ野郎だな! 命令に背くつもりか?」  タイロンの言葉にラグネルが続いて言う。 「これ以上命令に従わないつもりなら反逆と見なすぞ、ファズ」  2体の言葉が聞こえないかのようにファズは雷電の耳元で言った。 「あんたを含めてこの国に3体いるというS型がどのくらい強いのかをオレは確かめたい、中へ入る前にオレと勝負しろ!」  ファズはそう言いながら雷電の後ろ首に喰らいついた牙に力を入れた。もはや呆れかえった様子のタイロンが舌打ちをして「手のかかる野郎だなーー、まったく!」とファズと雷電の元に戻って来た。だが、雷電が右前脚を掲げ「待て」とタイロンを制した。  次の瞬間、雷電は後の右脚でファズの前脚を払う。バランスを崩したファズは雷電の首から牙を離してしまう。雷電は直ぐに身体を反転させファズの喉元を捕らえた。ファズは雷電の動きがあまりにも速く、自分が形勢逆転された事に一瞬わけがわからずにいた。そして、雷電の牙がファズの喉元に喰い込んで行く。「グッ……」、息が出来ない、ファズの表情が歪んだ。 「小僧、その程度の力でオレと公安の2体とやり合うだと? ふざけた事を言うな!」
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