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第16話【汚染】
2体に付いて地下用水路を辿って行く雷電。そこで初めて下川の事を思い出し、脳内無線で下川に呼びかけた。
『雷電? 心配したぞ、今どこだ?』
『奴らの後に付いて発電所内に侵入してるところだ。いいか、下川、良く聞け。ここを占拠したのは旧ロシアから来たオレと同類の奴らだ』
『同類? アンドロイド犬って事か?』
『ああ、そうだ。しかも占拠したのは奴らだけで人間はいないと言っている。遭ったのは3体だが中にまだ仲間がいるようだ。これからそいつらに遭う』
『どうやって中に侵入してるんだ?』
『建物の裏側にもいくつか扉があるんだが、そこからちょっと外れた場所に地下への侵入口があった。奴らの話しだと地下用水路だとか言ってるが、下川、奴らが言ってたが処理水だの汚染水とやらはどういう意味なんだ?』
『!? そうか、そのあたりの話しはしていなかったな。簡単に言えば汚染水ってのは文字通り放射性物質を含んだ汚染された水で、処理水ってのはその汚染水を浄化した後の水って事だ。ちょうど良い、秋田原子力発電所の資料と原子力発電のデータを送っておく。まさかお前1体でそこまで侵入する事になるとは思わなかったからな』
『ああ、頼む』
『で、俺はどうすれば良い? その地下用水路には簡単に行けそうか?』
『まあ待て、とりあえずオレが中の様子を見てみる。それに、奴らの1体が用水路の上で見張りをしているからいきなりお前が来ても無理だぜ。もう少し待っていろ、こっちからまた連絡する』
下川との無線を切った後に、雷電はこの建物を奴らが占拠した理由がなんとなくだが理解出来た。汚染水だの処理水だのと、建物自体がかなり物騒な物だという事だけは確かだ、と。
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