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Epilogue【要塞】
「人質が全員解放された?」
東京から専用ヘリに乗ったテロ特殊捜査課の面々が東北地方上空に入った頃、その一報が届いた。
「意外と早かったな、奴らにとって人質はファーストコンタクトの単なるお飾りに過ぎなかったわけだ」
と、コルトが続ける。
「で、次はどう出る?」
時を同じくして、日本海沿岸の沖合に浮上した旧ロシア軍の潜水艦……。
数台のタグボートに分散して乗っている迷彩服を着た人間たち。
海岸に向けて波を掻き分けるようにやって来る。タグボートはアンドロイド犬五体を運んで来たものと同じだ。
海岸にはその様子を双眼鏡で見ている下川がいた。
建物内にいる雷電からことの成り行きを聞いた下川はバイラスの言う通り、彼らを出迎えた。
旧ロシアは、アセアン紛争の勃発を機に独裁国家を目論むため、近隣周辺国をまずは統治下に置きたいのだ。
香港では白井光三郎の側近、立花が白井の自家用ジェット機で旧ロシアへ渡ろうとしていた。
「じゃあ、日本で」
ユナイテッドのリーダー田所は立花を見送る。
東京からは美咲やコルトらとは別に警察庁の機動特殊部隊も到着する。
原子力発電所周辺は益々緊迫感を増していた。
攻め入る国家とそれを死守する日本。
生と死を賭けた闘いが、この東北の地にて始まろうとしている……。
コルト & ビショップ 完
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