第二十一話 目玉の木

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こいつらが通った後にはしっかり除草剤がまかれ、根まで殺しておく。 しばらくの間は、その気持ちの悪いものを見ないでいられるのだった。 だがそれは早急に話されていた。 次の大市の時、その数は、莫大な数になるだろう。 キャプテンが見たのは、それもうおぞましい数の木が南下してきているというのだ。 どういう事だ? 数が合わない。 「いや、スティリーランド〈北の島〉からの分ならどうだ?」 「海を渡ったのか?」 俺は佐々木君にアメリカのように、北と南が地続きなのではないか?と疑問を投げかけた。 地図上切れているが、ここと同じならば…? 「地続きなら、考えられますね」 それに言葉を無くした。 俺たちは決断を迫られることになる。 島を一時期離れるかどうするかだ。 カレンダー通りに動いている、次は春、うるう年だがさほど日にちにずれはないだろうという結果になった。 師の称号を持った者たちが集まったが、大師教は、まだ足りないと言い始めた。 どういうことだ?六人と俺と、クリンだけでいいのでは? そうじゃないというのだ。 また何か出て来た? 違う、大市の時何が起きる? 何? 何ってねえ。 「そうではなくて、HPの回復ができない」 そうか、魔法が使える代わりに、HPは無理なのか?じゃあ回復は? 「クリンさんだけじゃ無理であろう、回復術を使えるものを集めなくては」 そういう事か。 なんだかタイミングが合わないな。 そういえばあの男、サバ、あいつでっかい石を持っていたな。 いま、ベルベットストーンは、集めたものは袋に入れ、岸壁から海の底に沈めてある。 それでも足りるかどうか? 季節は冬、みんなを守らなければ…。 島の人は、今では六百人以上、その人たちをどこへ避難させる? 東の島はもう人を受け入れるだけの事は出来ない。それは食糧難が起きているからだ。 無人島はそうやすやすある訳ではない。 「日にちはまだある、今ある石垣をもっと高くしたらどうだ?」 「山までは東側と南、それ以外に避難できないだろうか?」 「なあ、それまでの間、少しずつでも、海の道を山の方へつくることはできないのか?」 それは無理だ、冬の嵐で、すべて持って行かれる。 「ダークツリーは海まではわたってこないよね」 どうなんだろう? それは聞いたことはない、目玉もあの時以来、海で漂っているのを見ていないという。 船乗りたちは、ほうぼうの島を見て歩いているが、どこもかしこも船が近寄れる環境ではないという。 どうしてだ? ダークツリーは海岸で見るようになったら末期だという。 最後? そこで枯れ果てるのを待つ、そして種を海へ落とす。だがそれまで何十年、何百年、何千年とかかるのだ。 そういう事か、じゃあこの島も? ここはこの島があるから…。 「できるだけ、ダークツリーをこっち側におびき寄せて、北側へ上陸したらどうかな?」 オー。 だがそれを誰が見に行く? すべて集めることはできるだろうか? だよな。 俺は、スマホの写真をスクロールしてみていた。 「志村さん、何か?」 「なあ、でかい橋はかけられないかな?ほら、明石海峡大橋とか、レインボーブリッジみたいなさ」 「ですが、何年もかけてなら・・・」 「魔法使いがいてもか?」 「あー、できますかね?」 そこは元土木のプロ、何とかならないか? ああ、そうか、中洲、あれをうまく使えれば。 「できるかもです」 みんな聞いてくれないか?
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