第一話 出発準備

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子供たちが食べ終え、部屋に行ってから俺たちは話を始めた。 「何か変わったことは?」 「エジーア国が陥落したそうだ」 「ウソ、向こうが有利だったんじゃないのか?」 「それがどうもおかしくてな?」 はじめ、俺が召喚された国サラームール帝国とエジーア国との争いだとおまえたちから聞いていたからそう思い込んでいたんだ。 違うのか? 西の海、サラ―ムールの西側にある、ハジータムという小国がある。 俺はスマホを開き、地図を拡大した。 ああ、本当だ。 この国が、戦いを仕掛けたのが最初だったそうだ。 どこに? サラームール帝国へさ。 こんな小さな国が? そうだ。 地図を見て思ったのは日本が中国に戦いを仕掛けたような物だ。 で、負けた。 そうだ。 負けたらどうなる? アー、俺は知らない、魔王になれば、王を食って眠ると聞いた。 佐々木君がそれは初耳だといった、ただ戦って領土の拡大をするのが目的だと聞いたんだ、でもおかしくて。 「おかしいとは?」 何のために戦うのかが見えなかったんだ、領土を奪ってそのあとどうする?民が幸せに暮らせるようにする?そんな感じじゃなかったという。 「悪の実、違うな、ダークツリーをお前らは見たといったな」 うんと言った。 ザクは俺の事もそうだがもう一つ、何故戦いが起こるのかその調査も言われているというのだ。 どういうこと? 「そうだな、王は、民をないがしろにしてまで戦いはしなかったはずなんだ、だが、民を殺してまで、なにをしようとしているかがわからなかった」 そして何千年もの間解明されることなく、どこかの島で戦いが起きれば、見過ごし、逃げてきた民をただ見てきた。 「だがそれがそうもいかなくなった」 俺のスマホを取って、地図を元に戻し話始めた。 大小十数個からなるこの島国で、戦いの起きていない島は。 指でスクロールして、彼らの島を中心に、東側、見てわかるか?と聞かれた。 「まさかだけど、西側全ての島が戦っている?」 そうだ、民は、東へ、東へと移動しているが、このままでは、食糧危機で、戦争なんてする前に島はだめになってしまうというのだ。 でもなんで? 「一つ、俺が思うに、何千年もの間、島と島が重なって戦いが起きたということを聞いたことがない。それで、お前たちのこれだ」 スマホを指さし、画面を変えるとカレンダーが出てきた。 「たった五日のずれがどこかにひずみを生みだしたんじゃないかと思うんだ」 どういうことだ? こいつらに聞いたんです、四年に一度うるう年という年があり、それで、この数字は成り立っていると。だったらこの世界、民は、空を見て、月日の判断をするが、王宮にいる神職が、間違った教えを説くことによって、ひずみができたんではないだろうか? だがそれが戦いとどう関係がある? 「ひずみの解消は迷宮、だがそれが消えた時、この世界はもうどうにもならないのではないかと思うんだ」 「迷宮があるうちはまだいいと?」 「たぶん、迷宮はどこにできるかはわからないと言われているが、一つ分かっているのは、国が傾いている時」 では国が立て直しをできると何とかなると言いたいのですか? 「そこだ、国が傾くのはいつも魔王の話が出る、では魔王とは何だ?」 なんだろう? 「魔物に取りつかれたからではないだろうか?」 金のお面? 「そうか、正しい事の判断は、魔物なら反対を選びかねない?」 「そう、奴らがお前さんをいらないと言ったのは、魔物が王を取り込んだからではないだろうか?」 「じゃあ王様を倒したらいい んじゃないの?」 それだけではだめだという。 なんで? ダークツリーの問題。 あいつらは、その土地の精気を吸いつくす、そしてその土地は何百年と不毛の地になる。 「ふむ、で、そのあとは?ダークツリーは食べ物がなくなるとどうなるの?」 「王を食って砕ける」 「それで手が付けられないの?」 そうだという。 んー? 土地を奪うための戦いが、もしもダークツリーのための土地だとしたらどうなるかな? どういうことですか? もしも、ダークツリーと王がつながっているとしよう。 なにでつながっているかは今は考えないで。 王は戦うことで、その土地を手にし、ツリーに土地を与える。 ツリーは精気がほしいから、人間がいなくなる前に、王を食おうとする。
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