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そして一か月後、奇妙な大木が王宮の中へ生えたのでした。
白い実がついた木ですが、その実はまるで目玉のように見えたのです
それと同じ頃、御妃が病に倒れたと思ったらあっという間に亡くなったのです。
それだけではありません。
次々に、倒れる人々、変な病が広がったという間もなく、死んでいってしまいました。
それは王様に近い人たちからでした。
そして庭職人や料理人たちも死んでいったのです。
そしてとうとう兵士たちもが次々倒れていきます。
兵士は怖くなり、その話をやっと上司にしました。
上司は、目の前で起こる恐怖に急ぎ、王へ報告します。
魔導師だと、何故そんな物がこの町におるのだ。
妹が結婚したのでこの町へ来ていたこと、そして魔導師はあの夫婦の息子だったことが告げられます。
王様は、怒り狂い。
あの数年前病を治した時のようにまた魔導師が病を持ってきた。
兵に、家族を捕まえるように言いました。
ですが時遅く、その家族は姿を消しています。それだけではありません、大きな荷物を持った人たちが、兵士たちの前を足早に通り過ぎていくのです。
何処へ行くのか尋ねると、彼らはここから逃げるのだと言いました。
なぜ逃げるのかを尋ねると、作物が枯れてしまったこと、そして川もにごり飲むことさえもできなくなってしまった、そして、あの夫婦の家にあった水は枯れてしまったこと。このままでは王様に殺されてしまうと彼らは口々に言い残し、いなくなっていったのでした。
そして、魔導師の言うとおり、王宮の人たちは謎の死を遂げ誰もいなくなってしまったのでした。
残った木は、動き出し、城の外へも出るようになりました。木が通った後は何も生えない土埃しかたたない荒野へと変わり果て、その島から緑が消えると、生き物すべも消えてしまいました。
王様になる人は民の上に立つ人です。
その人が間違いをおこせば大地の神が怒り、その土地には人が住むことが出来なくなってしまう。
だから人々はこういいます。
いい事をすれば、きっと魔導師が正しい道を教えてくれるんだよと。
おわり。
パチパチと拍手。
だが俺はなぜか冷たい視線に後ろを振り返った。
目があったのはジル。
「なんだよ?」
「なんでもない、ねえ、その目玉はどこにでもいるの?」
「さあな、でもなんで聞く?」
「姉ちゃん、見た事あるよね、目玉みたいな気味悪いの」
俺はそれにまた振り返った。
「そ」
「それをどこで見た!」と言ったのは佐々木君だ。
どこだったかなー?
そうだわ、コアよ。
そうだそうだというジル、でもどこで見た?
俺がぶっ倒れて、宿屋に入る前にパンを買いに行った、その時子供たちがつぶして遊んでいるのを見たんだ、魔石が出たって言ってたから覚えてる。
だいぶ近い所まで来てますねと隣の佐々木君が言う。
「物語の話だけじゃなさそうだな」
「そうですね」
俺は心の中でこう思っていた。
たいそうなことはしていない、物語の夫婦は当たり前の事をしたまでだ、そして俺は母ちゃんが言っていたことを守っているだけだ、と…。
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