第二十二話 木の行進

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「雷!」 「すごかったなー!」 俺たちの所からは、稲妻が対岸向けて落ちていくのしか見えなかったのでした。 「あ、雲が切れる」 「よかったー」 「なんだったんだ?」 俺たちは空を見ていました。 手をパンパンと叩き払う子。 アーアと言いながらしゃがみこんでいるマイ。 彼女はマイのそばに行きます。 「落としちゃった」 すると宝石はきらきらと光ながら空中へ上ります。 「「「うわー」」」 女の子は、クリンとマイの手をとりました。マイは母と手をつなぐと輪になりました。宝石は三人の中で止まるとパーンとはじけたのです。 光る粉が、辺りを覆いました。 「きれい」 「そうね」 するすると足元から何かが這い上がってきます。 クリンは思わず二人を抱きかかえました。 リリアもジルを抱いたのです。 足元から生えてきたのは一本の木。 まるで二本の木がねじれるようにあっという間に空に届きそうなくらいまで成長したのです。 すると彼女はこういいました。 「使い方は任せる」 そして彼女はマイに手を伸ばしクリンを見てこう言いました。 「明日、遊べる?」 「ええ、天気が良ければ、遊びましょ」 「うん!」 「良かったねー」 対岸では。 「ダークツリーが、切れます」 「終わるか?」 「はい、合図を送ります」 「ああ、頼む、これで終わる」 ヒュー、パン! 「合図」 「終わるぞ!」 「やっと終わるぞ!」 島中から歓声が聞こえてきます。 「終わるな」 「ええ、まだ気は抜けませんけど」 俺たちは抱き合い、喜んだんだ。 最後のダークツリーが、マグマに飲み込まれるのを見届けたのは、次の日の朝だった。 長い五日間が終わった。
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