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おうさま、おうさま。
私には死ぬほど後悔していることがある。
子供の頃にしてしまった、ある重大な過ちについてここで告白したいと思う。
小学校四年生の時だ。私のクラスでは、女子の間でおまじないが大流行していた。おまじないの種類は多岐に渡る。消しゴムに名前を書いて筆箱に入れておくと好きな子と結ばれる恋のおまじない、程度のものから。とある学校の守り神様に逢ってお願いを叶えてもらえるおまじない、みたいなちょっとホラーっぽいものまで様々だ。
「ねー知ってる?学校の今は使ってない焼却炉にさー。自分の名前を書いた紙をヒトガタに切り取って投げ込んでおくと、成績がアップするらしいよお!」
「ええ?それ、あたしは“呪いたい人間の名前を書いていれておくといいって聞いたんだけど」
「は!?マジで!?ちょ、成績アップのおまじないだと思ってあたしやっちゃったよおおお!?」
「あーあ。……まあ、どっちが本当かわかんないよね、こういうの」
「サトちゃんサトちゃん!レンアイノートのおまじないやったあ?作ったあ?柿沼君と相思相愛になれるといいね!」
「ちょっとマコちゃん!」
「レンアイノート?デスノートじゃなくて?」
「え、デスノートって名前のおまじないもあるの!?」
「作り方両方聞いたけど、なんかこう、ほとんど同じなんですがそれは」
「うっそお!?」
まあ、こんな具合。休み時間や朝の時間なんかは、女の子たちが集まってやいのやいのと騒いでいたわけだ。
しかも、どのおまじないも信憑性がないし、人から人への伝言ゲーム状態なのである。当然、誰かに伝わるたびに内容が変化していくし、恋愛のおまじないの方法だったはずがいつのまにか呪詛になってたりもするのがとんでもないところである。
誰も彼も、おまじないの内容が混線していると知っていながら、それぞれが信じたい内容のおまじないを信じて実行していた。私もそのうちの一人だったというわけである。
そんな私と親友だったのが、一年生の時も同じクラスだった千速ちゃんだ。私と千速ちゃんも、クラスのブームに乗っかって様々なおまじないを試していたのである。
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