おうさま、おうさま。

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「相手が無茶なお願いを言ってくる人なら、拒否れるんだよ?なら、無難なお願いをして貰えるまで理続ければいいじゃん。二年もあるんだから余裕でしょ」 「そりゃ、そうだけど」 「それに、自分が無茶なお願いをしなければ、次の人のお願いもハードルが下がるってことでしょ、きっと。ちょっと成績アップしたい!くらいなら大したお願いじゃないって。それに、王様にはその気になれば何度だってなれるらしいから……過去に王様になった人にもう一度代替わりしてもらうこともできるし。自分がもう一度王様になることもできるし。そんなに難しくなくないかな」  まあ、このおまじないについて半信半疑だったというのもある。実際に身近な誰かがおまじないを実行したのを見なければ、到底信じられないと思っていたのだ。  同時に、ホラーチックで怖いと思うより、面白そうという気持ちが勝っていた。これで本当に千速ちゃんが願い事を叶えられて、自分もそれを見物できるのなら万々歳だろう、と。 「とりあえず、王様探してみたら?なんか、近くに行くとわかるらしいよ。ひょっとしたら、室っちが把握してない王様もいるのかもしれないし」 「う、うん……」  結論を言えば。千速ちゃんと私は、放課後にはもう王様を見つけることになるのだった。意外にもその時の王様は、六年生、先輩の女子だった。  王様には二年間、次代のお願いを拒否する権利がある。だから、拒否されてしまったらお願いは叶わない。千速ちゃんは少し不安がっていたのだが。 「漢字テストができるようになりたい。漢字がたくさん覚えられるようになりたいの!」 「わかりました。貴女に王様を、お譲りします」  王様だった六年生の女子がそう言った途端、彼女の体が白く光り輝いたように見えたのだった。あれ、と思った瞬間、女の子が蹲っていて、千速ちゃんは目をぱちぱちさせているという状態。千速ちゃんは茫然としたように言ったのだった。 「すごい。……漢字の知識が、どんどん溢れてくる気がする!」  この次の漢字テストで、千速ちゃんは百点を取った。  しかも暫くの後には、漢検一級を取った話も耳にすることになる。
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