知らなかった本心

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知らなかった本心

 結局、娘が学校に通えたのは半年に満たない時間だけだった。その短い時間、娘は毎日とても楽しいと笑っていた。  今日は友だちとこんな話をした、今日は授業でこんなことがあった。毎日帰ってきてから楽しそうに話してくれた。それは再度入院してからも同じだった。学校に行きたいだろうに、そんなことは言わない。入院なんて嫌だろう、不安だったろうが、そんな素振りは見せず、病院でも楽しそうに笑っていた。毎日が楽しいのだと、表情で示してくれていた。だから私たちはそれに甘えてしまった。病気が再発したことに気付いていないと。娘の心の中は平穏であるのだと。  それが間違っていたことに気付いたのは娘が死んだあとだった。遺された日記にはたくさんの娘の思いが綴ってあった。再発と死の不安に怯える心も、私たちを心配して痛む胸も、私たちが知らずにいた娘の本心がそこにはあった。
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