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 私の娘はいつも、このノートを大切にしていた。『今日はなんて書いたの?』と聞いても、恥ずかしそうに胸に押し当てて『見ちゃだめ』なんて笑っていた。だから私も夫も、何が書かれているのか知らなかった。    そう、私は何も知らなかった。娘のことなら何でも知っていると、あの子が産まれたときからそう信じてきたのに、そんなことはなかったのだ。
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