第十話 終わりよければ

4/4
前へ
/39ページ
次へ
夜になり、みんなを連れ広場へ向かう。 大勢の人が待っていると、大統領や街の代表者が火のついた松明を持って集まってきた。 広場の中央にくみ上げた大きなやぐらに火が付くと、歓声が上がる。 ダークツリーの嫌いな火が火の粉を上げ高く上る。 みんながそれを見上げている。 周りでは太鼓をたたき、踊る姿。 そして火が小さくなると人が集まり始めた。 その火をいつからか、みんなが荒縄に付け、くるくる回しながら消えないように持ち帰るようになったんだ。 俺と佐々木君は驚いた、日本にも同じ風習のあるのを知っていたんだ。 この島の安全祈願のようなものだ。 みんなが帰る姿を見ていた。 この島はこのままがいいと思いながら。 最後の火が消えるまで俺たちは見張る。 「次はどんな冒険ですかね?」 「魔物はもうこりごりだよ」 「今回はお誘いがありませんでしたが次は行きますからね」 「ああ、子供たちも楽しみにしてるし、師匠、頼みますよ」 と背中をたたいた。 エー、師匠はシムラさんだけでいいですよ。 でも今回はつらかった、やっぱり佐々木君かリリアがいないと無理といいながら消えた火に土を足でかけます。 「俺、びびりで無理」 「俺だってそうですよ、戦うのはこりごりです」 「それなのに連れて行けってが?」 「ハハハ、まあ知らないところはいかなきゃ言い訳で」 「はあ、やっぱり異世界だな」 「そうですね・・・志村さん、あれ?」 指差したほうにいるのはメイちゃん。 大きな影で、誰かを引っ張っているのが見える。 数人の子供たちがその周りにいるのが見える。 「なにしてるんだ?」 「お菓子を上げているようですね」 すると見えた。 俺のほうを見るその子と目が合った。 「あー!」 思わずでかい声がでてしまった。 男の子は木の陰に隠れ、女の子は俺を見て手を振っている。 周りの子も俺を見て手を振っている。 「早く帰れ!」 「いうこと聞かないと、ダンシングフラワーが布団に入ってくるぞー」 と俺はからだをくねくね動かしながらいうと、キャーという声がした。バイバイと言う声に女の子が手を振っている。 「メイちゃんもお休み」 「早く寝ろ!」 こっちを向いて丸をあげた。 「あの子、兄弟ですかね?」 「ああ、俺にカツ揚げしたな」 「はあ?あの子なんですか?」 「だからでてきにくいんだろ、さて片付けんべ」 「待ってくださいよー、マジですか?」 まじ、まじ! 俺たちの異世界ライフはこれからも続く。 さあて、明日の朝は焼き魚だな。 そして俺たちはこの世界にどっぷりとつかっていく。それだけだ。 月のない星だけが空で輝く空を見上げながら、俺たちは愛する家族の待つ家へと帰るのだった。 おわり
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加