第二話 外の世界へ

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船は、大きな島へとついた、ここがケナだ。 俺は荷を下ろし、師匠と、大統領の息子ルルと一緒に、この島にある優位一の店へと商品を下ろしに行くんだ。 商品? 何だと思う? 石鹸はもちろん、シャンプーも卸す。 そして今はこれ。 桃葡萄で作ったジュースとお酒、ワインだ。 フレッシュなものも時期であれば持っていくよ。 後はね、調味料。 これは師匠と佐々だけしか作れないものもあるんだ。 「船だ!みんな、師匠が来たよ!」 その声とともにどこからともなく子供たちがわらわらと集まってきた。 「ヨ~、みんな元気だったか?」 元気、元気と師匠に群がる子供たち、あ?俺は気が付いた、多くの子が奴隷の魔法をかけられている。 「師匠、アタリ貝はどうだった?」 「ばっちりだぜ、こっちではどうだ?」 「ばっちりだぜ」と真似をする子供たち。 「ジル、ルル、この子たちが牡蠣を養殖してくれているんだ」 へーそうなんだ。 「大きい子たちが代表でな、そういや、オルたちは?」 「兄ちゃんたちは小屋」 「焼き小屋」 「そうか、じゃあ早く終わらせて店に行くよ」 ワーッと歓声が上がった。 「師匠店って?」 牡蠣小屋といって、焼き肉屋のような牡蠣だけを焼いて食べる場所なんだって。 「師匠、その子は?」 「そっちは大統領の息子のルル、そしてこっちが」 「一番弟子のジル?」 「ジルだ」 「スゲー、一番弟子」 なんだかなー。 「よ、よろしく」 後で行くからと師匠は子供たちに言い聞かせるが、荷物をもっていくというので結局そこまで荷物運びをしてもらったんだ。 「ねえねえ、ジルは魔法は使えるの?」 「そりゃ一番弟子だもん使えるよな」 「…ごめん、俺はまだ」 「こら、こら、なにをしてるんだ?」 俺一番弟子なのに、魔法も少ししかできなくて、それでも、いっぱい師匠と過ごしてきたはずなのに。 「俺が一番だ!」 「お前なんかまだまだ」といっている子達。 師匠は俺の事をどう思っているのかな? 牡蠣の養殖場を見てきた。 竹に子供たちが並んで乗っかって行く、何をするんだろうと思うと、一番前の子たちが海に入る程撓って行く。 合図をすると一斉に子供たちが海に飛び込んだ。 すると海の中から何かがせり出してきたんだ。 あれが牡蠣だ、あれは紐についていて、下を切ると重みで下の船に落ちるという。 ガラガラとものすごい音、一瞬で船の上が山になって行った。 その日、俺は、一番弟子といわれるたびに、胸の奥が痛くなっていった。 「ジル、どうした、飯食わねえと」 「あ、はい、うわー、焼きすぎた」 「ハハハ、ほらこっち食え、それ、よこせ」 せっかくおいしいものが食べれるようになったのに、それなのに。 「どうした、昨日からおかしいぞ?」 なんでもないというのが精いっぱいで、とにかく食ったらすぐ寝ろと言われ、俺はすぐに宿屋の部屋に入ったのだった。 “俺が一番弟子でいいのかな?” そんなことを思っているとまた眠れないまま朝になってしまったのだった。 次の日、ここから北の国へ向かう。 師匠は、俺と違って、昨日は、この島の王様とも会って話をして、国で作っている、除草剤の作り方の注意事項を説明したりで、俺よりも忙しい思いをしている、俺は姉ちゃんに言われたとおり、師匠が倒れないように見張ってなきゃいけないんだけど。 「ジル大丈夫か?」 ルル、船酔いした、このまま寝てる。 そうか、そろそろ次の島に着くそうだ。 もう? もう夕方だぞ? そんなに寝てたのか? 師匠は? 相変わらずだよと、師匠は船に乗ったら寝る、とにかく寝るのだ。 俺はそれを見てほっとしていた。 モロア諸島モロアへ着いた。 大きい町だな。 船着き場もにぎわっている。 でも、目が行くのは奴隷と、貧しい人たち。 俺は師匠のおかげで解放されたでも。 大勢の人が俺たちと同じで逃げてきたんだ。 ザクさんは自分の部下だった人が戻り始め、彼にあっていくのがうれしいと言っていた。戻るのか尋ねたら、俺の居場所はここだからといっていた。もう一人のノスコールさんは、奴隷になってしまった奥さんと子供二人と仲良くしている。 彼女と姉ちゃんは、死神から逃れられないでいて、師匠や佐々も手伝っている。 死神なんかいなくなればいいのに! 「おーい、師匠!」 「どこだどこ?おーい、おーい」 船に一生懸命手を振る子供たち。 ここも子供、師匠は、親のない子供たちを集めて商売をさせている。 将来大きくなっても困らないためだ、そして彼らもまた、師匠の後を継ぎ、貧しい人たちの助けになるようにと師匠は俺にそう言った。 俺は師匠のそばを離れて船乗りになりたいと思ったけど、キャプテンは許してくれなかった、それは俺に師匠から受け継いだものを次の人に伝えなきゃいけないって言っていた、でも、俺は足元を見た。 わらじ、これがいつか、靴になればいいなと師匠は言っていた。 ササの持っていた安全靴、布製のつま先に鉄板が入ったもの、靴底は、師匠が作ったゴムもどきの分厚いものが付いている。 二人は、スニーカーでもいいと言っていた。 でも、こんな時師匠は決まってこれで十分と草鞋を見るんだ。
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