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「やはり、物語と同じで、聞く耳を持たなくなった人は野獣となり、この先は魔物と同じ道を歩むしかないのでしょうか?」
「今のところ、そうとしか言えません、我々が入るのは、ダークツリーだけになった時に、この国へ火を入れ、すべて焼き払ってしまうまではどうにもできないのです」
「なんだか、餓死するのを待つというのは気が引けるな」
「いや、その前に、迷宮ができる、そこで改心できなければ、外へ出ても、戦いを起こし、それに泣くのは、兵士や民たちだ」
「だが本当に、地の神との約束が、われらを苦しめる結果になるというのはいかがなものか?」
「王というのは人の上に立っているのですから、自分に非がないと認めること、反省もしないようなものなら、もはや人間ではありません、魔物や野獣は考えが浅はかです、こうして人と語り、何とかしようと考えることができるのは我々だけなのです、それをおごり高ぶって、自分が一番だなんて思っているうちは、どうにもならないのですよ」
皆はそれぞれ思うところがあるのか、ため息を吐きました。
「とにかく、ほかではまだ見られないが、どこに小さな種がはびこっているかわからない、私とて、先ほどのような娘がいるだけでハラハラし通しなのだ」
そういわれると、失笑が聞こえた。
我が家もですという王様もいる。
「とにかく今は、手を結び、ダークツリーが南下してこないように見張り、周りのものに動かされないだけの智慧を我々も身につけましょう」
ドアをノックする音がして、一人の男性が遅れましたと言って入ってきて、俺の隣に座ったんだ。
「おくれてすみません」
いやいや、今三国の状況を聞いていました、教会側は逃げられたのでしょうか?
「はい、なんとか、大魔導士様の言った通り、子供たちを使い一軒一軒、逃げろと言って聞かせたのには効果がありました」
「そうですか、それはよかった」
「ですが、今でかけるときに、魔物を見たという人たちの対応に追われ遅れたのです」
ざわつきました。
「どこですか?」
彼はボードを出すと、クステーブ国とオーバニュー国の国境沿いです。
「まさか、漏れたのでしょうか?」
「あり得ますね。もう一度、この辺を強化する必要がありますね」
「冒険ギルドに頼めるだろうか?」
やってみますが、期待しないでください、という返事だ。
「どうしてだ?」
「この森は、迷宮と同じように、人を迷わせる、だからわざとその外側に壁を作ったはずだ」
そうだ、何故漏れ出した?
「どこかに見落としがあるのでしょうね、すぐに知らせます」
師匠は、ボードをじっと見ています。
「すみません、この辺を拡大してくれませんか?
どこですか?
えーとこの辺。
「師匠、そこじゃないよ、もうちょっと上、ああ、右の方へ、ああ、そうその辺です」
「君すごいね」
「俺は大したことないので」とつぶやくと師匠は俺の頭に手を置いた。
「この子は私の目になってくれますので」そう言ったんだ。
「入り組んでいるな」
「ここはどこの国だ?」とメガネを上げて、近づいてみています。
三か国の名前がありますが、どこも辺境の領主が抱えていて、王様の目は届いていないようです。
前々から感じていたのですが、王様方はご自分の国を把握しておられますか?大きな国は手を持て余します。それを各領主のせいになさり、自分の国で何か起きた時はその領主のせいになさる。それならば、完全にその土地を領主に預ければいい。だがあなた方は、地の神と約束したことで、何か起きても逃げることはできない。魔王となってまでも、その土地にしがみつき、最後はタダの獣となっても、この島からは逃げることはできないのです。それをわかって隣の領土を攻めようなどという甘い言葉に乗せられた時点で、あなた方の心に魔物が住み始めるのです。どうか、皆様方の下には多くの民草がいることをお忘れなきように、どうかお願いいたします。
師匠は王様方に頭を下げた。
そして師匠は、今俺たちが住んでいる島の話をしました。
ダークツリーは、王様、それに近い家族、貴族、領主までを飲み込みました。その研究結果を話します。
オーという感嘆の声。
だれ一人、島から逃げることなく、その島で最期を遂げた話をしました。
「ダークツリーは八十近い数となりました、これは王だけの数ではないのです、地と約束をした者。安易に自分が王だと決めつけ子供に自分のエゴを植え付けた結果なのです、このような風習は即座に辞めるべきだ!」
王たちは皆黙ってしまいました。
「いい行いをしろとは言いません、ただ一つだけ。いい話には載らないこと。奴隷商達の言葉巧みな言葉に同調せず、兵士の代わりに奴隷を使い、ダーク―ツリーの餌になどという、人から外れた行いを絶対になさらないでください。それともう一つ」
師匠は言葉を飲み込み、王たちを見回しました。
「家族を大事にされたいのはわかります、ですがその家族親戚にもどうか目を向けてください。多くの王たちは、家族や親せきが操られていることに気がつけず王をはく奪され、その最後があの島々なのです。傲慢になり人を見下すようなお子さんに育て上げてはいないと多くの人がいいますが、その判断はすべて第三者です。
ご自分のそばに居る、使用人たちが、陰で何を言っているのかどうぞ広い心でお聞きになってみてください、そこで、アナタは外の人にどう見られているのか聞くことができるでしょう。そこで逆上して、人を殺すのではなく、反省して、どうしたら、その人たちによく見てもらえるのか、どうかご家族でお考えになってください、私からは以上です」
王様たちは、今ここに生きていることを喜び、この島で最期を迎える時まで、魔王たちに隙を見せないようにと誓い合うのです。
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