第九話 目の前に現れた魔物

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カシャン。 その音に振り返りました。 男です。 丸々太った豚のような男。 手には、王女の後ろにあった財宝を手にしています。 「お前は誰だ?」 「お、お前に言う筋合いはない!」 「いいけど、あんたそのままじゃ、死ぬよ」 首に剣があたり、ヒーという声とともに財宝を落としました。 「お前が女王を操っていたものか?」 男はへらへらと笑いながら、操るなんて滅相もない。 「ではなぜここにいる?いることができる?」 「イヤーたまたま下が開いていて」 「じゃあ泥棒だな、兵士!」 「私は王女付きのシャーマンだぞ、兵士がどうこうできる立場ではない、何をしている離せ。 「シャーマンね、あんた占いできる?」 「う、占い? 「未来がわかるのかってこと」 「おほん、それならわかるぞ」 男はべらべらと話し始めましたが、話を聞くものなんていません、まだ下にはうじゃうじゃ魔物がいるんですもの。 「女王が倒れた今、新王が立ち、この国は」 「ちょい、ちょい」 「は?」 「ちょっとこっちに来てみ?」 なんですか? 下を見て見な? 「いやです!」 言い切ったぞ。 「なんで?新王があそこにいるよ、見ないでどうするの?」 え?どこにですか? 男は足を穴に少しだけ近づけ、見えるか見えないかの所から背伸びをして覗き込んだ。 そして師匠はこういったんだ。 「これ、魔石を出す花なんだ、上げる、いっぱいあるからね」 ダンシングフラワーの入った大きな袋をその男に差し出したんだ。 男は躊躇なくそれを受け取った。 それもにやりと笑ってね。 「魔物に成り下がって、死ね!」 師匠はその男を蹴ったんだ。 あわ、あわわといいながら、くるくる回って、穴から落ちた。 上から覗き込んだ。 男の上にダンシングフラワーが降り注ぐ。 男の顔が動物の豚のように変わっていくのが見えた。 「火炎放射器!」 「ファイヤー!」 ボーっと言う音ともに、油に火がつき、魔物たちが火達磨になっていきます。 「はあ、はあ、ジル」 「いるよ、何?」 あれを、合図を。 うん。 「みんな、耳をふさげ!」 ピロロローーーー! あちこちに散らばっていた人たちがその音に気がつきます。 退却です。 腰につけていた、油をまきながら外へ向かいます。 「よくやった」 「シムラさん!」 「魔導師万歳!」 ザーブルさんと師匠は抱き合い、炎で黒鉛が上がるお城を見上げたのでした。 その頃、迷宮島では? 「ママ?腕?」 え? 消えていく印。 「消えた、リリアさーん!サルーさん!ささー!消えた、消えたわ!」 そしてノスコールさんのところも抱き合って喜びました。 もちろん、多くの子供たちもです。 ルルたちも、それに気がつきました。 「やったな」 「無事だといいんですがね?」 「何、一番弟子がいるんだ、さあ、迎えの準備だ」
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