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カシャン。
その音に振り返りました。
男です。
丸々太った豚のような男。
手には、王女の後ろにあった財宝を手にしています。
「お前は誰だ?」
「お、お前に言う筋合いはない!」
「いいけど、あんたそのままじゃ、死ぬよ」
首に剣があたり、ヒーという声とともに財宝を落としました。
「お前が女王を操っていたものか?」
男はへらへらと笑いながら、操るなんて滅相もない。
「ではなぜここにいる?いることができる?」
「イヤーたまたま下が開いていて」
「じゃあ泥棒だな、兵士!」
「私は王女付きのシャーマンだぞ、兵士がどうこうできる立場ではない、何をしている離せ。
「シャーマンね、あんた占いできる?」
「う、占い?
「未来がわかるのかってこと」
「おほん、それならわかるぞ」
男はべらべらと話し始めましたが、話を聞くものなんていません、まだ下にはうじゃうじゃ魔物がいるんですもの。
「女王が倒れた今、新王が立ち、この国は」
「ちょい、ちょい」
「は?」
「ちょっとこっちに来てみ?」
なんですか?
下を見て見な?
「いやです!」
言い切ったぞ。
「なんで?新王があそこにいるよ、見ないでどうするの?」
え?どこにですか?
男は足を穴に少しだけ近づけ、見えるか見えないかの所から背伸びをして覗き込んだ。
そして師匠はこういったんだ。
「これ、魔石を出す花なんだ、上げる、いっぱいあるからね」
ダンシングフラワーの入った大きな袋をその男に差し出したんだ。
男は躊躇なくそれを受け取った。
それもにやりと笑ってね。
「魔物に成り下がって、死ね!」
師匠はその男を蹴ったんだ。
あわ、あわわといいながら、くるくる回って、穴から落ちた。
上から覗き込んだ。
男の上にダンシングフラワーが降り注ぐ。
男の顔が動物の豚のように変わっていくのが見えた。
「火炎放射器!」
「ファイヤー!」
ボーっと言う音ともに、油に火がつき、魔物たちが火達磨になっていきます。
「はあ、はあ、ジル」
「いるよ、何?」
あれを、合図を。
うん。
「みんな、耳をふさげ!」
ピロロローーーー!
あちこちに散らばっていた人たちがその音に気がつきます。
退却です。
腰につけていた、油をまきながら外へ向かいます。
「よくやった」
「シムラさん!」
「魔導師万歳!」
ザーブルさんと師匠は抱き合い、炎で黒鉛が上がるお城を見上げたのでした。
その頃、迷宮島では?
「ママ?腕?」
え?
消えていく印。
「消えた、リリアさーん!サルーさん!ささー!消えた、消えたわ!」
そしてノスコールさんのところも抱き合って喜びました。
もちろん、多くの子供たちもです。
ルルたちも、それに気がつきました。
「やったな」
「無事だといいんですがね?」
「何、一番弟子がいるんだ、さあ、迎えの準備だ」
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