第十話 終わりよければ

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第十話 終わりよければ

んー。はっ!あれ? 「師匠?おきた?痛いところは?めがね、めがね、ハイ、見える?」 「ジル?ここは?」 宿屋、みんなで運んだんだよ。 「そうだ、女王は?みんなは!」 城の中を焼き払っているという、人も戻ってきたよ。 「よかったー、って、目が回る」 もうちゃんと寝ろよな。 「あれから何日たった?」 「三日、おなかすいたよね、おじや作ってくる」 「三日?ウワー、トイレ!」 「そこでてみぎ、あーだめ!」 急におきようとした師匠は思い切り倒れた。 「もう、だれかー!たすけてくださいー!」 来たのは宿屋の主。 「どうした」 「すみません」 「おしっこだって」 「ああ、立てるか?」 すみません。 戻ってきた師匠はベッドに横になった。 「よかったー」 後は姉ちゃんたちだね。 「そうだな」 師匠は目の上に腕を乗せた、めがねが頭の上に。泣いてるのかなと思って覗くとがバット俺に抱きついてきた。 「やった、やったぞ!魔物を退治したぞ!」 「くるしーよ」 ハハハざまーミロといっているのはいつもの師匠だよ。 「うめー!」 「アタリ貝ってうめーんだな?」 「グラタン、最高だな、アチチ」 「主!酒!」 宿屋の食堂は戻ってきた人たちで大賑わい。 火事もおきてないし、焼けたのはお城だけ、それにフラワーも町中のみんなで片付けた。 「おーい、一番弟子、こっちもおかわりくれ」 「もう、オイラはジル、名前で呼んでよね、ハイよおかわり」 「米、うま、主、これくれ!」 「はー、トン汁うめー」 お城の中は師匠が頼んでいたように、街役さんたちが火を絶やさないようにしている。 七日七晩焼き続け、フラワーが抜き取られた土にはお湯がかけられ、雑草はすべてお城の中で焼かれた。 もちろん見えない家の下とかもしっかりお湯がまかれていった。 「魔導師さま、あーありがたや、ありがたや」と拝むお年寄りたち。 感謝しますという大人たちに。 サインをねだる子供たち。 大変だな。 五日目、俺は師匠と一緒にお城の周りを診て回っている。 「何とか食い止めたな」 上のほうがすすけた高い城壁。 師匠と俺は、佐々から借りた剣で、土の上を振りながら歩いている。 「光った、師匠、これ」 「オー、こりゃいい、ジル、売れるぞ」 ほんと、やった! ヒヒヒ、何を買おうかな? そんなことを思っているとザクッと音がした。 師匠は土に剣を刺していた。 「まだだめ?」 「ああ、後二日で消えてくれればいいけどな」 ニチャッと音を立て、紫の液体が剣についてきた。 師匠は水で洗い流し、又振る。 「魔導師殿」 兵士たちだ。 「まだ外に」 「だいぶ落ち着いてます、後二日、がんばってください」 魔物もだいぶ減ったが森の中は危険だから行かないように注意勧告を出したそうだ。 それがいいでしょうね。 街の中の雑草も落ち着いてきているそうだ。 兵士たちは見回りをしてきますといって分かれた。 ザーブルさんは、本来王様がしなければならないことを手伝っている。 師匠が持って来た財宝やお金はこの国の物だ。兵士たちにちゃんと食事分として分けられるし、いろんなことに使われるみたいだ。 そして、このお城も、使い物にならないから、火が消えて、中が冷めたら取り壊されるんだってさ。 次の王様はどうなるのかな? さあな、それは町の人が決めることだからな?と師匠は言う。 「ジル」 「ん?」 「島に帰ろうか?」 「うん!」 宿屋に帰り、師匠と帰る準備を始めた。 「水くせ得な、帰るなら声を掛けてくれよ」 そういって帰り支度を始めるザーブルさん。 「残ってもいいんだぞ?」 最初から、魔物退治だけするつもりで来た、魔物を退治したんだ、帰るさ。 「勇者か」 「何だって?」 後でペールメント見てみろという師匠だ。 俺たちは、荷物を背負い、宿を後にした。 「帰るのか?」 その声に振り向くと、ローレンさん。 「ああ、世話になった」 笑いながらそれはこっちだという人。 師匠は頼みがあると、ローレンさんの前に立ちました。 「奴隷商は、もっと路線を変えるべきだ。口減らしに買う子供が減るように、その代わり、道から外れたものを改心させるような商売に切り替わることを願うよ」 ローレンさんは、右目にしわを寄せながら、いやな奴だなーといいながら。 「獣はいらねえ」 そういったんだ。 「はー。米も小麦も手に入らなかったし、さっさと帰るよ」 師匠は手を振ってさっさと行ってしまった。 「バイバイ、お元気で」 「おう、小僧、受け取れ!」 何かを投げた。 うわー。 なんだろう?紙? 石ころのようなものを巻いた紙。 「師匠、これ」 師匠はそれを受け取ると大きく手を振ったんだ。 師匠、何それ? 帰ってからなと、師匠は大事に懐の袋に入れてぽんと胸をたたいたのでした。
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