第十話 終わりよければ

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それから、一ヶ月、やっと島に帰ってきたんだ。 「キャプテン」 「おーどうした」 おいらは船乗りにならないことにした。 どうしてだ? だって、海の上、なーんにもないもん。 ハハハと回りにいる人に笑われた。 「そうか」 「デモね、おいらこれからは師匠の代わりにあちこちの国へ行く、だから皆さん、これからもよろしくお願いします」 「ということは?」 「ジャン、オイラ商人になったんだ」 ギルドの証明書を見せた。 船乗りたちはすごいなと頭をなででくれたんだ。 「にいちゃん」 「ジル兄ちゃん」 「行くぞー、ドライヤー」 「うわー、すげー」 「きゃははー」 「ほらちゃんと乾かさないとーこら待てー」 俺は魔法を教わっている。師匠のような力は少ししかないけど、魔石の使い方しだいで、魔法に近いものを使えるようになり始めたんだ。 「師匠、何作ってるんだ?」 「おージル、ジャーん、地球儀だ」 地球儀? ここが俺たちのいる迷宮島、ここがモロア。 そう、オイラは、サウザンドアイランドからの帰り、キャプテンたちと一緒に、少しだけ遠回りをした。 この星は丸い。 師匠や佐々が行っていたのがよくわかった。キャプテンや船乗りたちも同じことを言っていたからだ。 地図は平坦で、これが丸いの?といっていたから師匠は作ってくれたんだ。 真ん丸い地球儀、おいらがいった島と海を指でなぞった。 「ジル、ここがお前の生まれたコア、育ったサラームール」と指差す。 「オイラ、すごい冒険したんだね」 「ああ、この距離は大冒険だな、いつか、カズやマコトに教えてやってくれよな、お兄ちゃん」 「うん、ウワー、忘れるとこだった、祭り、姉ちゃんが祭壇作り直してくれって」 「おー、やべ、やべ行こう、まずい」 俺の背中を押しながら師匠の部屋を出た。 師匠の部屋には変わったものが多くある。あの日、ローレンさんからもらった石は魔石で、ローレンさんと話ができるんだ。 遠く離れている人と話ができるんだすごいだろ? 師匠は、魔力がないと使いこなせないけど、これがもっと使えるようになるといいなっていっていたんだ。 オイラの旅は、この島の人みんなが豊かに生活するために必要な調査だ。 今はまだ、人が住んでいるところが少ないけど、着実に、北の島は復活しつつある。 祭りのとき、矢を飛ばし向島に火をつける儀式は残すため、ある程度の場所は人がすまないようにして、そこで放牧をはじめた。 のんびりと草を食む魔物を師匠は牛と名づけた。 祭りのときは、集めて保護する。 「うわー、すごい、ぐるぐるだー」 「お店がある」 「あんまり体を出すと落ちるぞ」 今日はお祭りに使う食器を買いに来たんだ。 アルモア国のぐるぐる道にはお店がずらり。 そして、高い断崖絶壁の中には人が住んでいるんだ。 明かりがつくときれいだよ。 それを見せるために観光船が作られた。 船の下は透明で泳いでいる魚とか海の中が見えるんだ。 今日はそれには乗らない、買い物が中心だからね。 いっぱい家が建ち始め、農家が増えた。 「魔導師様、これで終わりです」 「もうそれやめてください、シムラでいいですからー」 馬車の後ろは食糧や食器でいっぱいです。 「一番弟子、頼むぞ」 「はい、ありがとうございます」 「ジル兄ちゃん帰るって」 「うん、又きます」 手を振った。 「おそーい」 「お金を払ってきたんだよ、カズはお土産いらないんだよなー」 「え?ほしい、ねー、にいちゃん!」 「私は?私にはないの?」 「マイ俺に言うことは?」 「お兄ちゃん、ください」 「お兄様、ください」 それを聞いていた師匠が大笑いした。 「仕方がない、ほら」 「やったー、食べていい?」 「どうぞ、ほら」 「うー、兄ちゃんありがとう、はー、アマーい」 「師匠にも、どうぞ」 「おう、ミルクキャンディー、うまー、ジル、サンキュー」 「アー、又知らない言葉ダー」 「何、サンキューって何?」 「マイ、危ない、もう、後出な、後で」 「んー、父様はもう少し学校に行くべきですね」 「カズ・・・まあいいか、ジル、もう一個くれ」 「アー、父様ずるいー、お兄ちゃん俺も、俺も」 馬車の中はにぎやかだ。
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