第十話 終わりよければ

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ドンドン、カッカッ。 ドンドン、カッカカ。 祭りばやしの太鼓の音が聞こえてきた。 わーいと走っていく子供たち。 今日は祭りの中日。 クリン姉ちゃんの腕の印はもう二度と出てこないといった師匠に泣いて抱きついていた姉ちゃん。 俺にもありがとうと抱きついてきた。 佐々に剣は返した。 リリアは次に島を出るまでに、硬化師ブルさんに新しい剣を作ってもらおうといってくれたから俺はお願いしますと頭を下げた。 俺よりも金持ちのリリアに作ってもらったほうがいい品物になるだろうし。 そして、俺には又ひとり兄弟ができた。 「みやちゃん、あぶぶぶー」 女の子だったけど、いいや。 でも、この子。 「師匠と同じだ」 耳が上にないんだ。 「健康ならそれでいい、もしものときは、ジル、兄として守ってくれ」 「まかせろ」 「頼むわよー」と姉ちゃんに頭をなでられた。 「やめろよー」 さて、俺のスローライフは、波があるけど、まあ楽しんでいる。やりたいことをしているし、今店は、ジル、リルが中心になって回している。 佐々木君も弟子ができた。 自分が向こうでしてきたことを教える子達ができたのだ。 俺たちは、店よりも、研究のほうに時間が取られるようになっていた。 でも・・・。 「祭りなのにいいんですかね?」 「たまにはいいんじゃないの?」 「お。きた!」 「魚が戻ってきてるそうだ、イルカがいてさ、口が飛び出てるんだけど、ほとんど変わんなくてさー」 へー、なんていうんですか?といいながら吊り上げた魚をバケツに入れている。 「あててみ?」 そうだな、案外向こうに似た名前のものが多いんですよね、イルカのままだったりして。 近いと言いたいが。 待ってください、じゃあドルフィンのほう? 「さすがー、フィンは尾びれらしい」 「へー、じゃあ上が違うんだ」 なんて釣りを楽しんでいた。 一方ジルはクリンと子供たちと祭壇を片付けに洞窟に入った。 「あ、メイちゃん」 女の子を子供たちは迷宮のメイちゃんと呼ぶようになった。 「あ、違うよ、男のこのほうだ」 「あ、本当だ、デモなんで隠れるのかな?」 カズとマイはそんなことを言っていたそうです。 ジルははじめてみたと教えてくれた。 女の子とそっくりな男の子だそうだ。 まさか?が俺の頭をかすめた。
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