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階段を下りると下にいるチビたち。
「兄ちゃんは?」
「ジルは大丈夫?」
大丈夫、さあ支度して、学校に保育園だ!
ジルは、奴隷から解放され、夢ができたようなんだけど、それで今葛藤している最中らしい。
キャプテンのように船乗りになりたいという気持ちが芽生えてきた。
それはいいことだと俺は思っているのだが、どうもキャプテンに厳しく言われたらしい。
海は危険な場所、家族を悲しめる覚悟があるのなら許すというのだ。
船乗りの多くは一人者が多い。もちろん家族がいる人もいるが、そんな人たちは、いつ、どんなことが起きて死ぬかもしれないという覚悟を持っているという。
俺の父親も漁師で、祖父と一緒に海へ出て亡くなっている。
赤ん坊だった俺は記憶がない、写真の中のおやじだけだ。
ジルは、俺の話を知っているからどうしたらいいのか悩んでいる。
リルから聞いた話だがキャプテンはジルに志村は師匠じゃないのかと尋ねた。
ジルは、師匠と呼んでくれと言われたたから呼んでいる、師匠って何と聞いたそうだ。
物事のすべてを教えてくれる人のこと、そして弟子は、その教えをさらに人に伝える使命があるものだそうだ、ジルは志村の一番弟子じゃないのか?と聞いたそうだ。
師匠はそう言ってくれた。
だろ?志村はジルがいなくなったら寂しんじゃないのかな?
でも、オイラいろんなところも見てみたい。
するとキャプテンの顔は厳しくなったという。
「見てどうする」
どうするって?
キャプテンはこんなことを言ったそうだ。
志村がいなければ、こんな平和で楽しい生活は出来なかった。今、この世界はこの島のようにみんなが笑っていられる島はどこへ行ってもないのだと、そしてどこもかしこも魔物が出て人々は逃げ惑い、見たくもない悲しい現実を見ることになる。
命知らずな冒険者でさえ手におえないようなことがあちこちで起きている。
「お前は志村に命を救ってもらった、その恩返しは出来たのか?」
ジルは首を振りました。
「今俺たちは幸せで、その幸せの中にいるからこそ、俺の話は刺激的に聞こえる、もし、ジルが船乗りになったとしても志村は止めたりしないさ。だがな、志村は何時もお前たちの事を一番に思っている事だけは忘れるなよ。アイツは自分の命を捨てても、お前らを守る。そういう男だ」
黙ったジルの頭に手を置き。
「今すぐじゃなくてもいいはずだ、志村は魔導師だ、すぐにあちこちに行くようになるさ」
そうなのかな?
「あいつも船乗りのようなもんだ、でもな、必ずここへ帰ってくる、大事な家族のもとへな」
「キャプテンたちと同じだね」
「そうだ」
奴隷として外の世界を知ることなく育った二人。自由だと言われてもそれがわからない。
でもクリンは子供ができ、その幸せに浸っていて。ジルにしてみれば、姉のように慕っていた人を取られてちょっとどうしていいかわからないと言ったところだろうな?兄妹もできたしな。
そこでじゃないが、ジルを連れていこうと決めた、クリンは反対したがリリアがいい機会だと言ってくれたんだ。
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