47人が本棚に入れています
本棚に追加
第二話 外の世界へ
昼、子供たちが学校を終え、わらわらと店へやって来る。
「ちゃんと手を洗えよ」
「なんだか見たことのないのが乗っかってるね?」
すると、志村さん!と来たのは、教師だ。
アタリ貝、子供に食べさせるなんてというのだ。
大丈夫、火を通してあるから、当たるのは生、絶対うまいからと先生を席につかせた。
子供たちの給食は定食の子供番、ちょっと小さい入れ物で、自分たちでする事になっている。そう給食当番がいるのだ。
御昼よりちょっと遅い時間、席も一番奥で子供用の長いす、一般の人はこの時間は入れないようにはしてあるんだけどな。
「今日のメニューは牡蠣ご飯とひっつみじる、それと大根の漬物です、みなさん感謝していただきましょう。いただきます!」
いただきます!
今や、この島でひっつみを知らない人はいなくなったね。
子供たちのうまいという顔は最強だな。
彼らにはただで昼飯を提供している。
但し、学校へ行くことが条件だ。
今のところ、順調だ、貧しい人たちもこの島へ来たら働かなきゃいけないからな。
貧困で困っているというのは最初だけだ。
食事をしたら解散、バイバイという声に、どこか懐かしさを感じていた。
「どうでした?」
「うまかったです」
三日後はもっとうまいの食わせますと言ったら、笑って帰られた先生だった。
「ササ!これお願い」
「モエ、どこ行くんだ?」
「保育園、迎えに行ってくる」
ああそうか、頼むな。
「店長、ごめん」
ジル、今まで寝ていたのか?
うん。
おでこに手を当てた。
「熱下がったな」
「手伝う」
そういって洗い物をもっていった。
「店長、おはよう」
「おはよう、悪いけど、外頼めるかな」
「今日は、焼きガキなんだよね」
「そう、オーナーがいるから聞いて」
「はーい」
「おはようございます」
「オウ、メグ、ここ頼めるか?」
「はい、えーと、定食は、給食と同じなんですね」
「少し多めな」
「はい、おにぎり、すごいなー」
「足りなかったら、下にあるからな」
「はい」
「みんな、お昼にするぞ」
交代要員がやってきた。朝から出てきているのが休憩になる。子供たちが出て行った場所にみんなが座り始める。
保育園だけは給食はなかで作っている、離乳食だったり、子供しか食べられないものもあるので、別にしてあるんだ。
「うま」
「おいしいなー」
「酒だな」
「リリア―」
そこへむすっとして客を睨む綺麗な女性。
「怒るなよ」
「飲めないの知っててワザとだろう?」
「そこは仕方ねえよな」
「店員だ、我慢、我慢」
「くそ―!早く今日終れ!」
アハハハと笑われている。
俺たちも昼食を終えるとちび達が帰ってくる。
「ただいまー」
「おかえり」
「只今、とう様」
「カズ、どうした?」
志村さんの息子は、座っている志村さんのシャツをめくり上げた。
「キャーエッチ―」
それに笑う人たち。
「おなかに穴が、開いてない」
なんだ?どうしたと集まるスタッフ。
アタリ貝を食べるとお腹に穴が開くんだと聞いたらしい。
それにみんなが大笑いした。
それは生で食べるとお腹を壊す人がいるからなんだよと教えると、そうなんだとほっとした、でも、ただいまー!と言ってもう一人も俺のシャツをめくり上げた。
「あな?」
「開くか?こうじゃ!」
きゃはは!
昼を終えるころ、牡蠣は牡蠣飯を少し残し。終了した。
最初のコメントを投稿しよう!