第二話 外の世界へ

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さて、船に乗り込んだ、志村さん一行。 ジルの未来を乗せ、船は、俺たちの島の真東に点在する、モロア諸島へと向かいます。 「ジル、あれがカナップ諸島だ」 うわー、小さな島がいっぱい、ねえあそこにも人が住んでいるの? すめない島が多いそうだ。 やはりある程度の大きさがある島でなければ、畑もそうだが、一番は水の問題があるという。 俺達の島では、ゴミの回収は細かくて、リサイクルといって、使いまわしのできるものは集めて作り直される。 ゴミも、家庭から出る生ごみは、コンポストと呼ばれる入れ物に入れられて、畑の肥料に使われる。 どうしても燃やさなければならないものは、乾燥させてから燃やされるのだが、俺たちの島には火山があるから、そのそばで燃やされるんだ。 それと下水の処理だ。 下水は、そのまま海に垂れ流さないで、火山のそばにある湖の下に集められる。ここは、毒ガスとかがひどくて、危険な場所だ。 これを低い場所に流し、家庭から出る俺達の出したものとかと一緒にするんだ、そして海水を入れながら徐々に薄めて、水に近いものにして海に流す。 この川は、師匠やササたちが考えて考えて作ったもので、流した先には、魔物が住んでいる、その魔物がいる事で、もっときれいな水になって海へ帰すことになるんだ。 で、この魔物というのが、問題なんだよね。これ、あの目玉の化け物の一番小さい時のもの。 師匠はダークツリーが何でできるのかを研究していて、わかったことがあったんだ。それは、目玉に毎日自分の嫌なことを話すと、だんだん大きくなっていく。ほめたり、いい子いい子と言ってやると、増えることはあっても悪い物にはならないんだ。 悪いのは人の目のようにぎょろぎょろ見たりひとりでに歩き出したりするけど、いいのは、目玉がない、タンポポのように花びらをいっぱいつけ、種も綿毛のようなものを飛ばして宝石にはならないんだ。 悪い言葉を話しかけられたものは、どんどんその根っこを広げ、悪い話をドンドン吸い取っていく。 そしてあの化け物の木になるんだ。 でもね、一つだけ、師匠がどんなに悪い言葉を言い聞かせても、木になることはなかった。 教会へ行き大司教様と何度も話をしているうちに、大地との約束をした人たちがタネを生み出しているということになったみたい。 王様になるときに台地の神様との契約をするというのはどんなことなのか師匠は尋ねた。 大司教様は王族や、貴族でないと分からないといい、師匠はリリアやサル―にそれを訪ねた。 王族の子供が生まれると、その子の行く末と誕生を祝い、神々に未来を願う。 天の神には、火、水、風を地の神には土、木。 「ちょっと待ってくれ、それって魔法のスキルだよな」 「あーそうだな、天は女性、地は男性を意味し、特に男子が生まれると、大地に剣をさし、この地を収めるという意味の祈りをささげるそうだ。 リリアはそれをしていないよね。 していない、息子もしてないよね。 していないという。それにほっとした師匠。 絶対地の神に願い事をしてはいけない、なぜ? それは、師匠が召喚されて国のもとの王様から話を聞かされているからだそうだ。 それと師匠は時々、神様なんていねえけどな、ケッ、とよく言う。 どうもいい思いをしたことがないみたいだ、ササもいうんだよな。 まあいいや。 その儀式のとき、地面に刺した剣は魔力を帯びて、そこから、大地に何かしらの作用をして、種ができる、その種が作用して、木になる。 ベルベットストーンという宝石は、どす黒い赤い石だ綺麗な赤い石、火をつける石の方がよっぽど綺麗だ。 師匠は一度だけ、こぶし大の宝石を見たことがあった、それは、王様になろうと勘違いをした貴族の男が持っていたもので、たぶんそれがダークツリーと何関係があるのだろうと言っていた。 師匠はダークツリーをやっつける事ができるたった一人の人だ。 師匠がいなければこうして人々が生きていられなかったとみんなが言う。 話は教会から発信されているようだけど、そんなもののために、平民がつらい思いをするのは許せないなと師匠は言っていた。 でもこの世界の事はまだよくわからないから、仕方がないのかなと師匠は残念そうに言っていたんだ。
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