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その瞬間、はっとした綾乃はローテーブルに置かれたままの、ほとんど中身を飲み干してしまったティーカップに目だけを移した。
「まさか……紅茶に、何か……っ」
そんな嫌な予感が見事に的中すると同時に、背後からゆっくりと近づいてきた影に腕をとられる。
「本当は適当にエサチラつかせながら時間をかけてモノにしようと思ったんだけど、『恋敵』があの葵だからな……そこらのチョロい馬鹿女と一緒に考えるべきじゃないと思って、ちょっと薬の手を借りてみたんだ」
「薬……?!」
何を飲まされたのかわからない恐怖が身を包んでいく。
深酒しすぎた時のようにぼうっとする意識の中、熱を持ち始めた体を起こして肩に腕を回してきた潤が至近距離で笑って言った。
「……大丈夫。俺も初めて使ったけど、もちろん毒薬でもなければ非合法の危ないヤツとかじゃないはずだから。ただ、ちょっとだけ……どうしようもなくオトコが欲しくなるみたいだけどね」
その言葉にゾクリとした直後……
強引に押しつけられた潤の唇に、呼吸を止められてしまった。
「ん、んう……!」
息苦しい。
自分の頭の中を流れる血のサーッという断続的な音がうるさい。
カラダが熱い。
熱くて今にも溶けてしまいそうだ。
「……悪いね。俺、無理矢理するのって好みじゃないんだ。やっぱりちゃんと女には感じてもらわなくちゃ……こっちが楽しめないからさ」
言うことをきかなくなってしまったカラダは潤の思うがままに操られ、まるでベッドのようなソファーの上へと放り投げられてしまった。
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