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「倉田。聞いてる?」
「き、聞いてます。なんのつもりかと言われましても……」
「人のこと好きだとか言っておいて、意味わかんないんだけど」
自分の台詞をリフレインされて途端にかぁっと頬に熱が集まる。しかも会社でこんな……。
あの時は必死だったとはいえ、よくよく考えたら誰かに告白したのは生まれて初めてだ。
「あの、気にしないでください。私が勝手にそう思っているだけなので。もう忘れますから安心してください」
目を合わせず淡々と告げると、なぜか強引に肩を掴まれ、正面を向かされた。目の前にはちょっと怒った新堂さんの顔が。
「忘れる? 何勝手なこと言ってるんだよ。仮にお前がそうしたかったとしても、俺は忘れられない」
「え?」
「やっと俺のものにできたと思ってたのに、なんで逃げるんだよ」
真剣な眼差しに囚われ、目を瞬かせる。
やっとって……。まるでずっと私を欲していたような言い方……。
「あの……それってどういう? 新堂さんは責任感じてるだけじゃないんですか? 私がその、初めてだったからそれで」
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