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「はい……。だって、新堂さんがそんなふうに想ってくれていたなんて、夢にも思わなかったから」
「俺のこと、どんだけ最低な男にしたいんだよ」
言いながら苦笑いを零している。よくよく考えたらそうだ。新堂さんはそんなずるい人じゃない。もっと彼を信じるべきだった。
「お前の鈍さには驚かされるよ」
「だって、新堂さんハッキリ言ってくれなかったじゃないですか。責任とか言われたら、普通にショックです!」
あのとき彼が言った「責任」という言葉に、私がどれだけ振り回されて、何度泣いたことか。
でもどれも自分で蒔いた種。勝手に勘違いして、逃げてばかりで向き合おうとしなかった自分が悪い。最初からきちんと向き合っていれば、こんな風に遠回りすることなかったんだ。
「普通わかるだろ。だいたい責任だけで一緒にいるはずないだろ。そこまでお人好しじゃない」
「わかりませんよ!」
涙目になりながら声を上げる。そんな私を見て新堂さんは、眉を下げ笑っていた。
これまでの葛藤を思い返すと悔しい。でも今はそんな気持ちより、嬉しい気持ちの方が勝っている。新堂さんも私と同じ気持ちだったなんて。
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