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「これで誤解は全部解けたか?」
「は、はい」
彼の腕の中で、肩を落としながら頷く。
「だいたいこの前、お前の耳元でちゃんと伝えたんだけどな」
「え? 何をですか?」
「乙葉、好きだって」
私をきつく抱きしめながら新堂さんが照れ臭そうに言う。もしかして、ベッドの上で囁いた言葉はそれだったの?
「聞いてなかったのかよ」
「す、すみません」
「まぁ、くたくただったもんな」
意地悪な口ぶりで言われ、かぁっと体を火照らせる。そうしたのは新堂さんだ。彼が執拗に攻め立てるから。
「今度からはちゃんと口にするよ」
「じゃあ今すぐ聞きたいです」
彼の腕の中から上目遣いで見つめれば、ばつが悪そうに目をそらされた。その顔も可愛くて胸がキュンキュンしてしまう。
「一回しか言わないからな」
「はい」
じっと彼の声に耳を傾ける。少しの間の後、彼の低い声が鼓膜を揺らした。
「乙葉、好きだ。ずっとお前が好きだった」
「……っ」
初めて聞けた好きの言葉に、感極まってしまった。そんな私を見て、新堂さんは呆れたように笑っていた。
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