2249人が本棚に入れています
本棚に追加
それに気が付いた新堂さんが、ムッとした顔で声のする方へと向かう。そして「お前ら」と、ぞっとするような声を出した。
「やべ」
そう言うのは物陰に隠れていた仲野くん。もしかして、ずっと見られてた?
「俺らは何も見てないし、聞いてないよ。乙葉好きだ、なんて吐き気がするほど甘ったるく囁くお前の声なんて聞いてないからな」
「清家、お前……!」
清家さんにからかわれ新堂さんが、眉間に皺を寄せていた。らしくない新堂さんに、思わずクスクスと笑ってしまった。
「これ以上はまずいっすよ、清家さん。さ、仕事しましょう!」
雷を落とされたくない仲野くんは、尻尾を巻いて逃げて行く。清家さんも私に目配せすると「お幸せに~」とその場を出て行った。
その背中を新堂さんはやれやれと言った様子で見ている。
こんな調子で清家さん達に冷やかされるのは間違いないだろう。でもそれすらも幸せだと思える。一緒に仕事をして、これからは恋人として、一緒に歩いていきたい。
「今日から私が快斗さんにたくさんの幸せをプレゼントしますね」
「それ、俺の台詞」
自然と目があい、ふふっと微笑み合う。
これからは遠慮なく愛情をぶつけていきますから、覚悟しててくださいね?
最初のコメントを投稿しよう!