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「乙葉と四六時中一緒に居たいし、今だって抱きしめたい衝動を抑えてる……って、何言ってんだ。そうじゃなくて、その」
うまく伝えられず、頭を掻きむしる。そんな焦る俺に、乙葉は黙って視線を送っていた。
「いや、だからつまり、お前が思っている以上に俺は乙葉に惚れてるってこと」
つい人目もはばからず臭いことを言ってしまった。辺りにいた人達は何事だとばかりにこっちを見ている。乙葉もキョトンとした顔で俺を見上げていた。
しまった。つい……
「ふふ、それならよかったです。快斗さん、ずっと好きにしたらいいしか言わないからちょっと不安になっちゃったんです」
「乙葉の選ぶものなら、なんでも嬉しいってことだったんだけど」
「快斗さんらしいです」
そう言って機嫌よさそうに再び雑貨を選び始めた。
言葉が足りないのは悪い癖だ。彼女を不安にさせたくないのに、こんな風にから回ってしまう。
乙葉は自分は恋愛初心者だと言っていたが、俺の方がよっぽど恋愛下手だ。こんなにも好きなのに、想いをうまく伝えられない。
「乙葉」
「はい?」
だから俺は姑息な手に出た。言葉でうまく伝わらないなら、体にわからせるまで。
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