繁華街

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ママさんたちと解散後、私はすぐ近くの同じようなバーへと向かう。 さっむ…まだ2月だもんね。何も記録をとったわけではないけれど、一日の最低気温と最高気温は2時頃と14時頃でないかと思いながらコートのポケットに手を入れる。あぁ…でも日の出直前がきゅっと一番冷えてるかな…だけどもう明るくなるというのが目に見えて、夜の終わりを告げてくれる時間帯なので嫌な寒さではない。 最初は壁かと勘違いしたバーの入口を静かに開ける。バーの入り口って、地下にあったり、ここのように様々な趣向が凝らしてあることが多いと思う。やっと入口を見つけて扉を開こうとしたら、押しても引いても開かないスライドさせるドアだったなんてこともあった。 極小さく 「いらっしゃいませ」 とカウンター内から呟くように言ったオーナーに会釈だけして、コートを脱いでハンガーにかける。黒いコートを脱いでも、黒いタートルネックと黒いセミワイドフレアパンツに黒いブーツ。コーディネートを考えることなく、お洒落ではなくとも、とりあえずどの店にも入れるというように仕上がるオールブラックは便利だと思っている。 「もう飲んで来られた?」 2人のお客さんが2つ席を空けているのと同じように、私も2つ空けて座るとオーナーがおしぼりを手渡しながら静かにそう聞いてくる。 「はい、ウィスキーをお湯割りで下さい」 冷えました…その一言までは声にならない。今日はここで日の出直前まで過ごせばいい。
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