感情、知性の複合体

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夕方、会社の部屋で右京と着替え始めると、野沢も着替え始める。 「今日は、運転と立ち番だよ?」 「社長でなく若、という感じに着替えて行かれるなら私も着替えます」 「楽しみだねぇ」 他に誰もいないので3人とも遠慮なく和彫りをさらけ出して、ネクタイをしていたビジネススタイルからオールブラックのノーネクタイへと着替える。 「今日は最短時間…最低限玖未ちゃんが食事を楽しめたら終了。で、1か月後…だね?」 「女の出方次第だが今日は仕留めるつもりはない」 「玖未さんが不審に感じたり傷つくことがないように慌てずにですよ、右京」 野沢がそう言ったとき、野沢の電話が鳴る。 「裕子ですね…はい、玖未さんに何か?」 野沢の声に俺と右京はボタンを止めながらドアへ向かう。 「若、大丈夫です…裕子、分かりました。社長に伝えます」 俺たちを言葉と手で制した野沢が 「予定通り準備は出来上がっているようです。電話は、玖未さんが裕子へのお礼にとイチゴを買っておいてくださったようで、喜んでもらってきたとの報告でした。心遣いがありがたいです」 と自分もボタンを止め始める。 「玖未ちゃん、黙って人の観察して吸収している感じだからなぁ。今までインプットされてたことをアウトプットする機会がなかっただけで、これから人と関わるうちに化けるよ、きっと」 「必ずだ」 それが美点で強みで…俺が愛してやまない、玖未だ。会いたい。
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