感情、知性の複合体

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「失礼致します、須藤様」 さっきの説明で自分の役割を把握した支配人が、女を通り過ぎて俺たちのところへ来た。 「玖未。ここでいつも世話になる谷口支配人だ。支配人、俺の大切な女だ。俺がいない時にもよろしく頼む」 「かしこまりました。谷口と申します」 「天野玖未です…」 「天野様。当館をご利用の際は私にお声掛け下さいませ」 「…ありがとうございます」 これでいい?という風にチラッと俺を見た玖未の髪を撫でようとすると 「…気に入ってるの…裕子さん作だよ?」 玖未が僅かに口角を上げた。一瞬で荒獅子が熱を持ったのが分かり俺の口角も上がる。 「似合ってる」 「玖未ちゃん、お姫様だねぇ」 「本当に綺麗なお嬢様で須藤様ととてもお似合いでいらっしゃいます。レストランへご案内いたします」 さあ、女はどうしているのか…組員が見張っているのでおかしな動きはしていないだろうが…移動しようかという時、女を見ると不自然にスマホを覗いていた。忙しい振りってやつか… 「舞花、大丈夫?電話じゃない?」 俺の玖未は普通に心配しているところも可愛くてゾクゾクする。 「あ…玖未、ごめん、ごめん、来てたんだ。気づかなかった。待たせたかな?」 「ううん、全然大丈夫だ…よ…」 女と目があって、玖未がほんの少し戸惑いを見せた。玖未が正しいぞ。相手は明らかに太っているからな。
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