感情、知性の複合体

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「さっきから居酒屋や食堂を小バカにした音色を感じるけれど、そういうの止めた方がいいよ、中山さん。世界中にそういう店はたくさんあって、そういう店が人気で、そういう店がなければ生活も何もかも回らない。こういう高級店が無くても困らないけれど。だから世界中の人を敵に回す発言は慎んだ方がいいと思う」 なるほど…右京…私は気にならなかったけれど、そう聞くと居酒屋や食堂に‘庶民’‘大衆’ってわざわざ付けるのが馬鹿にしたように聞こえたのかな? 「小バカになんてしてませんよ?私もよく行きますから」 「そうなんだ。でも俺にはそう聞こえた時点で、距離を置きたくなりますね。俺と価値観と感性が全く異なる人種だと明らかなので」 そう言った右京は 「俺がキミと付き合うとかデートとかあり得ないけれど、玖未ちゃんの友達だからね…おかわり、どうぞ。それとも次のワインにしますか?」 シャンパンボトルを舞花に見せて…わっ…ここで繁華街のお姉さんたちの言うキラースマイルだよ… 「お食事中、失礼致します。須藤様、1ヶ月後の手配はわたくしの方で完了しました。スタッフ一同、皆様のお越しをお待ち致しております」 「支配人、世話になるがよろしく頼む」 「かしこまりました」 キラースマイルからの支配人登場、次のお料理と白ワイン…私は大忙しだよ、悠仁。そう思ってチラッと彼を見ると、チュッ…こめかみに唇が降ってきた。 ちょっと待って…舞花の手が震えてない?フォークが折れそうなんだけど…白い指先、大丈夫? 「中山さんも1ヶ月後の集まりにどうぞお越しください。このホテルのプールを貸し切り予約しましたので。温水の快適なプールですよ、ぜひ。私と玖未ももちろん参加します」 えぇ?今度は悠仁の口からプール貸し切り発言…さらに私の頭は大忙しになる。
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