繁華街

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全部を区別して知っているわけではないけれど、この繁華街の店は須藤組というところがオーナーの店と、須藤組から借りる形でオーナーがいる店に二分される。どちらにしても須藤組の繁華街ということだ。 でも、まるはどちらでもない。ゲンさん所有の土地で営業している。だから須藤組のワイルドイケメン、メガネイケメン、キラースマイルイケメンっていう人たちにお目にかかることはない。 もしかしたら、私もこれだけ繁華街の住人になっているので見かけたことがあるのかもしれないけれど、まだ隣で皆さんが盛り上がっているようなフェロモンお化けも、視線で孕ませそうな人も、スマイルとウインクでイカせてくれる人も見覚えはない。 「野沢さんとママが同い年くらいですかぁ?」 「そうね、45前後でしょ」 「捨てがたいけど…私は30の若さんか本間さんで」 「二兎を追う者は一兎をも得ずだよ、リア」 「一兎でも無理な相手だもんねぇ」 まだまだ盛り上がっている話だが、私は私の隣の人がリアさんだと名前が分かって少しホッとした。 「おかわり、いかがされますか?」 「シルバー·ウィングをお願いします」 「わ~ぉ」 「キツイのいくね~玖未ちゃ~ん」 皆さん、いい感じに酔っぱらい始めているので 「みんな最後の一杯よ。これで解散」 ママさんが手をポンポンと叩く。私はそっと時間を確かめて…2時過ぎか…帰るには早いな…と考えながら、ウォッカベースのカクテルをチビチビと飲んだ。
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