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自己紹介。そういえば私に名前なんてあったっけ。親の記憶もないので分からない。
「……名前はMiA〈ミア〉です。歳は多分17です。…幼い頃に親に捨てられたので自分の事はあまりよく分かりません。これからよろしくお願いします。」
今私が明かせる情報はこれだけだ。自分の事が分からないなんて変な奴だと思われただろう。
六人分の視線が私に集まっている。正直とても怖い。
「ミア、か。今つけたにしてはいい名前なんじゃないか?」
そう言ってムーンさんはニヤニヤとしていた。
他の人も同じように微笑んでいる。どうやらここの人達に誤魔化しは通じないようだ。少しだけ恥ずかしい。
「まぁいいだろう。次に私たちの自己紹介……の前に、ここについて説明しようか。」
「ここは私の率いる、マクレススパイ組織のアジトだ。ミア、君は今日からスパイになってもらう。」
マクレス……聞いたこともない。私はスパイに勧誘されてしまったらしい。拒否権はおそらく無いため、大人しく頷いておく。
「メンバーは私を合わせてこの六人と君だ。私達はそれぞれの特徴に合った武器を持っている。」
武器。ルーン様で言うとあのナイフだろうか。
そんな事より、戦いの経験のない、しかも女の私がこの世界でやっていけるのだろうか。
「君の武器は、身体だ。私たちには到底持つことの出来ない、特別な武器だ。」
身体。
「……やはり、まだ処女は奪われていないらしいな。」
突然そう言われたので思わず動揺してしまう。恥ずかしげもなくそんな事を言うなんて、これが大人なのか……?と思いつつ、一応小さく頷く。
「ならそれは大切にしておこう。女性は初めての相手はこだわりたいらしいからな。」
「リーダーがそんな事言うなんて珍しー。」
それまで黙っていた他のメンバーがムーン様を冷やかし始める。「黙っとけ。」という一言にみんなくすくすと笑っていたが、すぐに静かになった。
「はぁ……そこでだ、今ここにいる、私を抜かした五人に君の教育係になってもらう。仲良くやってくれ。」
教育……まずは教養を身につける、ということだろうか。それはありがたい。なぜルーン様以外なのかは別に聞かなくてもいいだろう。何か理由があるんだろうから。
「よし、ひとまずこんなものか……。
では我々の自己紹介をしよう。」
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