プロローグ

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「私の名前はムーン…ではなく、LUCAS(ルカス)だ。さっきのは偽名さ。歳は……28だったかな。一応マクレススパイのトップだ。よろしく頼む。」 ムーンは偽名だったのか。スパイになれば偽名を使う機会も多くなるだろう。それにしても、28歳……成人済みだと思っていたが、意外と年上だったのか。とりあえず、軽く会釈をする。 「僕はJACK(ジャック)。年齢は24。好きなものはミアみたいな綺麗なもの、かな?これからよろしくね。」 最後にパチッとウィンクが飛んできた。きっと数々の女の人を虜にしてきたのだろう。可愛らしい顔をしているが、耳には沢山ピアスをつけていて、襟元からは刺青が見えた。 「俺はFRANK(フランク)だ。歳は……確か26だったはずだ。」 それだけ言って、彼は口を閉ざした。「え、それだけ?」とジャックさんが聞くが、フランクさんは何も答えなかった。無口な人なのだろうか。フードを被っていてあまり顔は見えない。 「じゃあ、僕の番かな。僕はNOAH(ノア)。フランクと同じ26歳だよ。好きな物は……植物、かな。どうぞよろしく。」 ノアさんはおっとりとした雰囲気をまとっていて、とても安心する。彼がスパイだなんて、想像ができない。それにしても、ずっとニコニコしているが疲れないのだろうか……。 「お、俺はALBERT(アルバート)っていいます!先月20歳になったところです!好きな物?は美味い食べ物っす!よろしくお願いします!」 随分と元気な人だ。薄桃色の髪から犬の耳が生えていそうな感じがする。そして1番年齢が近い事に少し親近感が湧く。だがアルバートさんの方が年上のはずなのになぜ敬語なのだろうか。 そして、残るはあと一人だが、彼はずっと俯いたまま何も話さない。軍隊の様な帽子を被り、椅子には刀が立てかけられている。 「KEI(ケイ)さん、順番来たっすよ?」 アルバートさんが心配そうに顔を覗き込んでいる。お腹でも痛いのだろうか。すると彼は初めてこちらを向いた。 「ケイと言います。年齢は25歳です。……よろしくお願いします。」 この人もフランクさん同様、口数が少ない人なのだろうか。黒い髪に黒い瞳、ケイさんは他の人達とは少し違った雰囲気を醸し出している。 「よし、これで全員の紹介は終わったな。ミア、今日は疲れただろう。アルが部屋に案内する。休め。」 すると、アルバートさんがこちらに近づいて来た。どうやらアルとは彼のことらしい。 「じゃあ姉さん、行きましょう。」 初めて呼ばれる呼び名に少し困惑しながらも、私はその部屋を後にした。
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