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第一章
「ん.......。」
どのくらい寝てしまったのだろう。良質なベットのおかげでよく眠れた。やはり体も痛くない。部屋を見渡し、時計を探す。あった。
「1時42分.....!?」
流石に寝すぎている。ここに来て早々に遅刻ではないのかこれは。まずい。
すると突然電話が鳴った。モニターには“10”とだけ映し出されている。そっと受話器をとる。
「はい、どちら様でしょうか.....?」
『おはよう、ミア。随分と遅い起床だったようだな。』
この口調、ルカスさんだろうか。
「おはようございます。....すみません、少し疲れてたみたいです。」
『無理もないな。いいだろう、身支度を整え次第、1階で朝食...昼食か?とにかく、食べたら10階に来てくれ。今後の予定について伝える。あぁ、ゆっくりでいいぞ。喉に詰まらせでもしたら大変だからな。』
そこで電話は切れた。意外と怒られなくてよかった、と内心ほっとする。
そんなことより、と隣にあったクローゼットを開けると、そこにはワンピースが何着か置いてあった。どれも可愛らしく、自分に似合うか少し心配だ。
一着を手に取った時、ふと私は思った。
「シャワー浴びたい.......。」
ルカスさんはゆっくりでいい、と言っていた。お言葉に甘えさせてもらおう。
私はシャワールームに向かった。しっかりとお風呂も付いていたが、とりあえずシャワーだけにしておいた。
真っ白なワンピースに袖を通す。こんな服を着られるなんて夢みたいだ。足取り軽く、私は部屋を出た。
エレベーターの扉が開くと、スマホをいじっている男の人が乗っていた。名前は確か.......
「ジャック、さん?」
私が名前を呼ぶと、彼がこちらを向いた。どうやら当たっていたようだ。私の事を認識すると、すぐににこっと笑顔になった。
「ミアじゃん!おはよう。よく眠れた?」
「はい、お陰様で。ジャックさんはどこに行かれるんですか?」
「俺は10階。ミアも?」
私は1階だと教えると、「まじー?!」と驚いていた。お昼にしては遅い時間だ。驚くのも当然だろう。
「じゃあ俺がついて行ってあげる、行こ!」
そうして、何故か私はジャックさんと一緒に行くことになった。
「エレベーター、一個しかないからさー。行く方向が違うと面倒臭いんだよねー。でも、ミアだったから別にいいかな。むしろラッキーって感じ!」
そう言って彼はにっと笑った。この人もアルと同じ感じがする。
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