第一章

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エレベーターが止まった。どうやら1階に着いたらしい。扉が開くと、ジャックさんがどうぞ、と言って私を先に下ろしてくれた。 そこには、今までとは打って変わって明るい雰囲気の場所だった。照明がその場をあたたかく照らしている。 大きなテーブルに7人分の椅子が昨日の会議室?と同じように置いてあった。そこにプレートが置いてあるのに気づく。 「好きな席に座って!ここは早い者順だから、どこでもいいよ。」 そう言われたので、私はそのプレートが置いてあった席に座った。ジャックさんは私の正面に座る。 しっかりと栄養を考えられているメニューだ。彩りもとても良い。私たち以外の人はいなさそうなので、あの六人の誰かが作ったのだろうか。 「ジャックさん、ご飯は誰が作ってるんですか?」 「あー、基本当番制で回ってるんだー。今日のは確かー.......ケイだ!ミア、良かったね。初日からケイのご飯食べれるなんてラッキーだよ。」 当番制、という事は一応みんな料理は作れるのか。意外だ。でも....... 「なんでラッキーなんですか.......?」 「それはね.......ズバリ、全員の個性が強すぎるからなんだよ。 ケイとアルはめっちゃ料理上手なんだけど、リーダーは肉しか出さないし、逆にノアさんは野菜しか出さないし食べない!フランクは下手くそではないけど、ちょっと大雑把なんだよねー。」 なるほど、そういう事だったのか。確かに、バランスが悪そうだ。あと1人はどうなんだろう。 「ジャックさんはどんな料理を作るんですか?」 私がそう聞くと、彼はえっ、と都合の悪そうな顔をした。もしかして、苦手なのだろうか。 「うーん、それは内緒。そんなことより、早く食べないと遅れちゃうよ!」 上手くはぐらかされてしまった。言われた通り、私は食事に手をつけた。ケイさんが作ったという料理たちは、どれも絶品だった。 私が黙々と食べている間、目の前の彼はその姿をじっと見つめていた。なんだか落ち着かなくて、しばらくしてプレートはすぐに空になってしまった。 「ミア、食べるの早いね。そんなに美味しかった?」 ジャックさんも少し驚いているようだった。 貴方があまりにも見てくるせいですよ、と言いたかったが、心の内に秘めておいた。お腹が空いていたと伝えると、彼はすげー、と少年のようにケラケラと笑っていた。
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