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「んじゃ、そろそろ行こっか。ミアは部屋に戻る?」
自分もルカスさんに呼ばれている事を話すと、彼の表情はパッと明るくなった。
「そうだったんだ!ミアも会議に参加するのかー.......。でも、そっか。ミアも俺たちの"仲間"だもんね。当然か!」
仲間━━━━━。
ジャックさんがさりげなく言ったその言葉に反応してしまう。とても心があったかくなる響きだ。
「ミア、なんかめっちゃ嬉しそうじゃん。なんかあった?」
突然そう言われたので、思わず驚いてしまった。顔に出ていたのだろうか。少し恥ずかしい。その気持ちを誤魔化すように、私はジャックさんの手を引いた。
「なんでもないです。そんなことより、早く行きましょう?」
そのまま二人でエレベーターに乗り込んだ。しばらくジャックさんが何も話さないので、不思議に思い彼の方を見ると、何故か驚いたようにこちらを見ていた。
「ど、どうかしましたか....?」
「いや、なんでもない.......ちょっとびっくりしただけ。」
一体何にびっくりしたんだろう。答えてくれるかと思いしばらく見つめていたが、ジャックさんは静かに前を向いたまま何も言わなかった。
エレベーターが10階に着く。また昨日のように長い廊下を歩き続けた。その間、ジャックさんは上機嫌に鼻歌を歌っていた。
うーん、ますます不思議だ。
頭の中であれこれ考えているうちに、目の前に扉が現れた。ジャックさんが思いっきり開けると中には私たち以外、全員が揃っていた。待たせてしまっただろうか。
「ったく。おせーぞジャック!!.......って、なんだ。ミアも一緒だったのか。」
フランクさんは腕を組みながら不機嫌そうにしていたが、私の姿を見ると、一瞬驚いたように目を見開いた。
「ミアのご飯に付き合ってたのー。文句言わないでよ、根暗。」
「うるせーチビ。」
何やら子供のような言い争いをしている。いつもこんな感じなのだろうか。その光景に誰も動じない。
「まぁ、ミアは昨日そのまま寝てしまったみたいだからな。早い方なんじゃないか?」
ルカスさんがニヤニヤとこちらを向いている。なぜその事を知っているんだろう。監視カメラでもついてたのか.......?
「.......お待たせしてしまい申し訳ありません。」
とりあえず頭を下げる。フランクさんの様子からして、やはり結構な時間待たせてしまったみたいだ。謝るのが当然だろう。
「顔を上げろ、ミア。私の許容範囲内だから許そう。フランクは気が短いだけだからあまり気にするな。」
それを聞いたフランクさんは一瞬顔をしかめたが、ため息だけついて何も言わなかった。
「あと、ここはもうあの屋敷とは違う場所だ。そんなにかしこまらなくても、誰も怒りやしないさ。」
先程とは打って変わって、ルカスさんは優しい目をしていた。
「そうだよ、ミア。僕たちに遠慮はいらないよ。さ、座って。」
ノアさんが優しく微笑んでいる。他の人たちも静かに私を見ていた。あぁ、なんて優しい人たちなんだろう。そう思いながら、私は言われた通りに席に座った。
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