伝説になりたい

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"もっと妖怪の怖さを全国的にアピールしないと"  そのために、全国的に知られている八百比丘尼を代表にが組織されたのだ。  限局的な地域での盛り上がりではなく、日本全国で神出鬼没でかつ、同じ内容の噂である必要がある。そのためには、最初だけは可能な限り同じ動作で同じ台詞でなければならない。日本中の話題を掻っ攫うくらいでないといけない。  これまで日本ではご当地妖怪化する傾向が強く、全国的には知られていなかったり、知られていてもあまりに語られる内容が違っていたりした。八百比丘尼だけは、一人妖怪のため話が大きく異なることはなかったが、全国区になるのに膨大な時間を要した。  そこで白羽の矢が当たったのが、ヨローナだった。ラ・ヨローナ、メキシコから始まり、中南米にまで広く国際的に名前が知れている妖怪。その伝説はどの国でも似ており、泣く女という通り名までついている存在だ。都市伝説対策本部は、このラ・ヨローナに日本中を震撼させるような都市伝説を生み出すことを託したのだ。 ◆◇◆◇ 「今日最初のニュースです。日本中を震撼させている問題。本日、埼玉県N市は小学校に集団下校をするように求めました。これまでも、警察が出動するなど日本全国の小中学生には恐怖の毎日となっています」 「こんなの面白おかしくマスコミが作り上げているまやかしじゃないんですか?」 「いや、この口裂け女。日本中をどこに現れても同じ内容の目撃情報なんですよね。それが信憑性を高くしているんですよ」
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