なりたいものねだり

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「はぁ……」  気が重い。    明日の準備をしながら、思わず溜め息をつく。  長期休暇も今日で終わり。次の日になったら、また憂鬱で疲れる日々に戻る。そう考えると、全身に気だるさが重くのし掛かり、脱力してしまう。  寝て起きたら長期休暇初日に戻り、自由気ままで楽しく過ごした日々をまた過ごせたら。そう思わずにはいられない。  だが、そう都合よくいかない事は重々承知している。 「はぁ……」  準備の手を止め、部屋の本棚をぼんやりと眺める。お気に入りの本達が並んでいる。何度も読み返したり、まだ二、三回くらいしか読んでないものまで、色々だ。気ままに手に取り、時間を気にせず読んでいたい。本を買うためだけに外出し、帰宅したら本を読んで日々を過ごす。そんな日常の中に永遠に生きたい。 だが、そんなことは叶わないと分かっている。思うだけ、気だるさが増すだけだ。 「あぁ……」  この準備も、いつもなら一分もかからないのに、気分が乗らないのも相まって五分以上かかっている。明日のこともそうだが、眠気にも襲われているため、余計に捗らない。一度休めばいいのだが、寝過ごして朝に慌てて遅刻するのが分かっているので、終わらせるしかないのだ。 「ふわぁ……」  大きなあくびを一つ。とても気だるく、とても眠い。身体中や頭がボンヤリしてきて、もう動けそうにもない。  そんな状態で、正常な判断など出来ないだろう。
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