アリス

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アリス

「わ、わかりましたよ」  なにを言っても無駄なようだ。  ボクも諦めて、いったんカレーの火を止めアリスを連れバスルームへ案内した。 「ハイ、ここがお風呂ですよ。ちゃんと脱衣所もありますから。バスタオルでもなんでも自由に使ってください」 「フフ、ありがとう。ほらァ、もう汗でぐっしょりでしょ。ポチローも触ってみてよ。ほらァここを」  アリスはボクの腕を取り、みずからの胸の膨らみへ(いざな)った。 「え、えッ?」  唖然としてボクは彼女の胸元へ手の平を乗せた。 「うッううゥ」  これが本物のオッパイなのか。柔らかくて弾力性に富んだ初めての感触だ。彼女の言葉(コトバ)通り汗でしっとりと濡れている。柔肌に吸いつくようだ。 「フフゥン、どうかしら」  アリスは妖しく目を輝かせた。 「な、なッ、何をするんですかァ!」  突然のことに対応できず焦って、アリスの胸元から手を離した。一気に心拍数が急上昇だ。 「フフゥン、どうだった。オッパイの感触は?」  アリスは初心者のボクが慌てる様子を見て(たの)しんでいるようだ。また小悪魔みたいに目を輝かせた。 「あ、ありがとうございます。す、すぐにキャリーバッグを取ってきますから」   取り敢えず礼を言って、あたふたと逃げ出すように、その場から玄関へ向かい駆け出した。 「フフゥン、頼んだわよ」彼女の声を尻目に玄関へ急ぐと彼女のキャリーバッグが置かれてあった。 「ふぅぅ……」大きく息をつき深呼吸をして下半身が落ち着くのを待った。バスルームからは音楽とシャワーの音が漏れてきた。  ようやく冷静さを取り戻すとボクはキャリーバッグを抱えバスルームへ引き返した。 「あのォ、アリスさんのキャリーバッグは、バスルームの前に置いておきますから」  一応、ボクはノックをして断った。  だがバスルームでは彼女が爆音で音楽を聞いているのだろうか。にぎやかな音楽がドアの外まで漏れてきた。 「あのォアリスさん。ここに置いておきますよ」  もう一度、廊下から大声で怒鳴った。  その時、不意に目の前のドアが開いた。
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