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シャ□ンストーンのように
今度は艶やかなボディに淡いピンクのバスタオルを巻いている。
普段は母親が使っているバスタオルなのだがアリスが巻いているとヤケに艶かしい。どうしても豊かな胸元へ視線がいってしまう。まだ胸元がうっすらと濡れて光っていた。
日本一美しいと称される巨乳だ。厨二病、真っ只中のボクには目の毒だろう。
「フフゥン、どうしたのよ。そんなに驚いて。一人寂しく『真夜中のソロ活動』の真っ最中だったのかしら?」
上から目線で訊いてきた。
「えッ、真夜中のソロ活動?」
ドキッとするような発言だ。ビックリして返す言葉が見つからない。
「ねえェ、ノドが渇いたから、早くアイスコーヒーちょうだいよ」
「ああァッ、ハイ、アイスコーヒーですね」
そうだった。アイスコーヒーを注がないと。すぐにボクは立ち上がり、キッチンから新しいグラスを取って来ようとした。
「もぉ、良いわよ。新しいグラスを取りに行かなくても。ポチローの使ってるそのグラスで。そこにアイスコーヒーを注いで」
アリスはアゴで命じてきた。
「ええェ、でもこれ。ボクが飲んだグラスですよ」
「フフゥン、なによ。間接キスになるから、ダメなの?」
「いえ、別にそう言うワケじゃないですが」
今さらセクシークイーンが間接キスで臆するワケではないだろう。
「じゃァ、直接、口移しでアイスコーヒーを飲ませてくれる?」
ゆっくり見せつけるように舌で自らの朱唇を舐めて誘ってきた。
「えッ、え、えェ……、く、口移しで?」
なんてエロくて過激な誘惑なんだろう。艶かしいジェスチャーに一気に胸が昂なっていく。
もちろんボクは彼女もいないのでキスも未体験だ。だが、いくら何でもそんなはしたないマネはできない。
「じゃァ、このグラスで良ければ、ど、どうぞ」
かすかに手が震えて上手くアイスコーヒーをグラスに注げない。こぼれないように注意して両手で支えて注いだ。
「ああァら、こんなに震えちゃって。怖いのかしらァ、私のことが?」
アリスは、ゆっくりソファに腰を下ろし脚を組んだ。ボクに見せつけるようにオーバーなジェスチャーだ。
まるでかつて観た『氷の微笑』のシャ□ン・ストーンみたいに艶めかしいボディアクションだ。視線は彼女の際どい股間にくぎ付けだ。
「い、いえ、別に……」注意しないとアイスコーヒーが溢れてしまいそうだ。
おずおずとアイスコーヒーの入ったグラスをアリスの前に差し出した。
「フフゥン、ありがとう。坊や」
またアリスは小悪魔のように微笑みを浮かべた。
「じゃァあのォ、カ、カレーライスをよそってきますね」
これ以上、醜態は見せられない。逃げるようにリビングから立ち去った。
とにかくボクは自分でも嫌になるほどチキンハートで臆病者だ。
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