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着信音
思わずボクは悲鳴をあげ、四つん這いになって逃げ惑った。
「フフ、待ちなさいよ。ポチロー!」
だがアリスは女豹が草食動物を翫ぶように責め苛んだ。背後から襲いかかるとボクのパンツのウエストの部分を掴んで思いっきりズルッと下へおろした。
「うゥ!」ボクのパンツはズレ落ちてお尻が丸見えだ。
「ああァら、可愛らしいお尻ね。ポチロー」
淫乱セクシークイーンは愉しげにバックからボクのお尻を撫で回してきた。
「ちょッ、ちょっと、アリスさん。やめてください」
なんてヒトなんだろう。微笑んでいればお淑やかな令嬢風なのに、これではドS女王だ。
ボクは懸命に四つん這いになって逃げるが格闘技の心得でもあるのだろうか。アリスの方がずっと上手だ。
「フフゥン、逃げても無駄よ」
「わ、わァやめてェ……」
ボクは翻弄されオモチャみたいに翫ばれた。
その時、不意にスマホの着信音が響いた。テーブルに置いたボクのスマホだ。
「ン……」すぐにアリスは反応し、スマホに手を差し伸べた。
「あ、ちょっとアリスさん。それはボクのスマホですよ」
すかさずボクは注意するが、アリスはまったく気にする様子もない。
「ああァら、ポチローのスマホは私のスマホよ」
自分勝手な事を言って、着信画面を見つめ微笑んだ。
「なにをムチャクチャ言ってるんですか。返してくださいよ」
いったい誰からの電話なのだろうか。察しはつくが。
「誰これ、ハリーって。まさか彼女じゃないわよね?」
アリスは通知画面を読み上げボクを上から目線で睨んだ。
「え、ハリーですか。それは幼馴染みの友人ですよ」
やはり親友のハリーだ。
「友人。女の?」
「いえ、違いますよ。張本健一っていうヤツです。もちろん男ですよ」
ボクが説明するが、アリスは勝手にスマホのスピーカーをタップし応じた。
「ハァイ、もしもしィ」
かなり色っぽい声で電話に出た。
『えェ、あれェ……、ポチじゃないのか?』
ハリーも電話の相手がボクではなく突然、女性が応対したので驚いたみたいだ。
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