真夜中の濃厚接触

1/1
前へ
/39ページ
次へ

真夜中の濃厚接触

 突然、女性が応対したので驚いたようだ。まさかハリーも電話の相手がセクシークイーンの姫乃アリスだとは思わないだろう。 「もしもしハリーか。ボクだよ。星だ」  傍らからボクは早口でまくし立てるように声を掛けた。 『え、なァんだ。やっぱポチのスマホか?』  スピーカーからハリーの落胆した声が届いた。電話相手のハリーも半信半疑みたいだ。 「フフゥン」  しかしアリスはふざけてボクに襲いかかり組み敷いた。アリスはバスタオル一枚の格好だ。むやみに触るとセクハラになってしまうだろう。 「ちょッ、ちょっと退いてください」  ボクは仰向けに転がされアリスにマウントポジションを取られた。ボクの下腹部に彼女が(また)がった状態だ。生身のお尻の感触が(たま)らない。 「フフゥン、悪いけどポチローは今、私と真夜中の濃厚接触の真っ最中なのよ」  アリスはとんでもないことを言って、また小悪魔みたいに微笑みを浮かべた。 『えッ、えェ、真夜中の濃厚接触ゥ……。ポチとォ?』  電話相手のハリーは驚いて聞き返してきた。 「ち、違うってば。何言ってるんですか。ちょっと返してください。ボクのスマホを」  なんとかボクもブリッジしてアリスに抵抗を試みた。けれども、さらに下半身がアリスの柔らかなお尻に密着していく。 「いやァン……」アリスはわざと色っぽく拒否してみせた。 『おいおい、なんだよ。『いやァン』って。ポチィ、オレに断りもなく彼女と真夜中の濃厚接触なんて生意気だぞ』  ハリーは勝手なことばかり言っている。 「あのなァ、なんでボクが濃厚接触するのにハリーに断る必要があるんだよ」  ボクも文句を言ったもののアリスに翻弄されてキリキリ舞いだ。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加