冗談にしても

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冗談にしても

 しかしアリスはさらに色っぽく喘いで火に油を注いでいく。 「ああァン、スゴいスゴいスゴいィィィ」  もちろん演技なのだが、彼女は日本一のセクシークイーンだ。喘ぎ声も迫真の演技だ。 『おい、ポチィ。お前、何やってんだよ?』  ハリーも興奮して怒鳴ってきた。 「なんにもしてないよ。アリスさんが冗談で演じてるだけだから」  ボクもごまかすのに懸命だ。 「スゴいスゴいスゴい。ポチローーー」  だが、アリスの演技は留まることを知らない。さらに過激になっていく。 「やッやめてくれェ……」 『ポチィ。なにがスゴいんだよ。お前、オレに断りもなくスゴいことするなよ』 「うるさい。悪いけど今、ハリーと関わっていられないから」  早口でまくし立てた。 『なにィ、ポチィ。もしもし……』  ハリーは続けて何かを言っているがボクもこれ以上は付き合っていられない。 「じゃァな」無理やり通話を切って、ボクの上に跨ったアリスに怒鳴りつけた。 「な、なにをしてるんですか。アリスさん」  冗談にしても程がある。 「フフ、だってヒマだから」  小悪魔みたいに微笑んで、まったく反省の色がない。 「どんなヒマつぶしですか。あとでハリーに何て弁解すれば良いんですか?」 「フフゥン、愛人のアリスって紹介すればいいじゃん」  無責任に笑ってみせた。 「あのですねえェ……。なんで本妻もいないのに愛人がいるんですか」  ムチャクチャな人だ。  その時、手に持ったスマホが震え着信音がした。
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